金利差からかい離したユーロ高・円安=世界的株高が正当化か
ユーロ/円は先週(6月30日週)170円の大台に乗せてきた。ちょうど1年前、2024年7月に記録した175円というこの間の高値に一段と近づいてきたわけだが、さらに上昇は続くのだろうか(図表1参照)。
ユーロ/円は6月に入るまでは163円前後での横這いが続いていたが、この小動きから「上放れ」となると、一気に170円の大台に乗せる一段高となった。ただ、このユーロ/円の一段高は、日独金利差(ユーロ優位・円劣位)からは大きくかい離したものだった(図表2参照)。
金利差からかい離したユーロ/円の上昇を正当化できそうなのは、6月後半から広がった世界的な株高だろう(図表3参照)。その意味では、金利差から大きくかい離したユーロ/円の上昇は、リスクオンの影響を強く受けた結果ということになるかもしれない。そうであれば、ユーロ/円の上昇がさらに続き、1年前に記録した175円というこの間の高値に一段と迫る動きになるかは、世界的な株高の行方が鍵を握るのではないか。
52週MAの示唆は一時的ユーロ高・円安の可能性
このようなユーロ/円の上昇は、足下で162円程度の52週MA(移動平均線)を大きく上回る動きでもある。ユーロ/円は先週までに52週MAを6週連続で上回るところとなった(図表4参照)。
ただそれ以前、ユーロ/円は5月にかけて52週MAを大きく長く下回った。これは、経験的にはユーロ/円が複数年続く下落トレンドへ転換した可能性が高いことを示すもの。そうであれば、トレンドと逆行する最近の上昇はあくまで一時的な動きに過ぎない可能性がある。
ユーロ/円の上昇が、下落トレンドが展開する中でのあくまで一時的な動きに過ぎないなら、すでに1ヶ月以上も続いている52週MAを上回る動きがいつ終わってもおかしくないとの見方になる。それは、ユーロ/円が175円の高値更新に向かうのではなく、162円の52週MA割れへ向かうという意味になるが、その実現性の鍵を握っているのは世界的な株高の転換ということになるのではないか。
