東京市場まとめ
1.概況
日経平均は142円安の38,260円をつけ続落で寄付きました。週末に米国がイランの核施設への攻撃に踏み切ったのを受け、リスク回避目的の売りが優勢でのスタートとなりました。先週末の米国市場ではトランプ米政権が中国に対する半導体規制を強化するとの観測から、ハイテク株が軟調に推移しました。日本市場も半導体関連銘柄が売られて指数を押し下げ、9時34分に376円安の38,026円をつけ本日の安値を更新しました。その後は下げが一服し、前場は227円安の38,175円で取引を終えました。
後場は下げ幅を縮小し、持ち直しての推移となりました。アジア各国の株価指数が堅調に推移したことも後押しし、またドル円相場が一時147円台まで下落したことで下げ渋る展開となりました。後場後半は、38,300円台で一進一退に推移し、最終的には49円安の38,354円と3日続落で大引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が3日ぶりとなる小幅反発で取引を終えました。
2.個別銘柄等
INPEX(1605)が一時2.8%高の2,182円をつけ年初来高値を更新しました。地政学リスクの高まりから、原油の指標であるWTI先物の期近物が一時1バレル78.40ドルまで上昇し、先週末の清算値を6%あまり上回る水準で、原油の需給が引き締まるとの思惑が関連銘柄への買いを呼びました。
高島屋(8233)は0.4%安の1,094.5円をつけ続落となりました。日本経済新聞は同社の2025年3~5月期の営業利益は130億円程度となり、前年同期比で2割強の減益と同期間において5年ぶりの悪化を報じ、これを嫌気した売りが出ました。円高進行などを背景にインバウンドの消費意欲が鈍っていると指摘しています。
三菱商事(8058)は0.2%安の2,808円をつけ続落となりました。日本経済新聞が同社は「総事業費5,500億円をかけて2028年までに(太陽光の)発電能力を2.6倍にする」と報じ、これによって将来的な事業拡大につながるとの見方から買われるも、次第に伸び悩み続落で取引を終えました。
産業ガスメーカーである日本酸素ホールディングス(4091)は5.0%安の5,451円をつけ大幅反落となりました。外資系証券が、同社の投資判断を3段階で真ん中の「イコールウエート」から最下位の「アンダーウエート」に、目標株価を従来の5,200円から5,100円にそれぞれ引き下げ、これを嫌気した売りが出ました。
テクノロジーコンサルティング業のデリバリーコンサルティング(9240)はストップ高水準となる21.9%高の446円をつけ大幅反発となりました。先週末20日、コンサルティング大手のアクセンチュア[ACN]と販売代理店パートナーシップ契約を結んだと発表しており、これを材料視した買いが株価を押し上げました。
VIEW POINT: 明日への視点
地政学リスクの高まりから日経平均は小幅安となりました。中東情勢の緊迫化により防衛関連銘柄やエネルギーセクターに資金が流入する一方で、これ以上深刻な状況になるとの受け止めは少ないようで、下値では押し目買いも見られました。
明日に向けて、シカゴ連銀総裁やニューヨーク連銀総裁、クグラーFRB(米連邦準備制度理事会)理事の講演が予定されており、米当局者の発言が材料と考えられます。FOMC(米連邦公開市場委員会)の後での発言とあり、先行きの経済見通しの詳細が語られるかに注目です。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)