東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は16円安と続落で寄付きました。前日の米国市場は奴隷解放記念日(ジューンティーンス)の祝日で休場でしたが、日本市場は売り優勢でのスタートとなりました。その後、値がさ株の半導体関連銘柄に買いが入り、早々に上昇に転じました。しかし、19日の欧州株が軟調に推移したことや米株価指数先物が下落となったことで日経平均は再び下げに転じ、10時37分には125円安の38,362円で本日の安値をつけました。その後は持ち直し、前場は42円安の38,445円で前引けとなりました。

後場も前日終値である38,488円を挟んで一進一退での推移となりました。中東情勢の緊迫化が意識されたほか、週末とあって積極的な売買が控えられ、方向感に欠ける展開となるなか、大引けには下げ幅を拡大し、85円安の38,403円で取引を終えました。

新興市場では東証グロース250指数が続落、0.9%安となりました。

2.個別銘柄等

アドバンテスト(6857)は4.2%高の9,831円をつけ反発となりました。生成AI需要の強気見通しの高まりを背景に、同社の半導体製造装置への受注増やそれによって業績が上向くとの思惑から買いが入りました。ファンドマネージャーからも「足元の需要は想定以上で、加えて最先端品ほど検査時間が長くなり多くの試験装置が必要になる」といった評価を受けています。

J.フロント リテイリング(3086)は3.1%安の1,995円をつけ続落となりました。外資系証券が同社の投資判断を3段階のうち最上位の「買い」から「中立」に引き下げ、これを材料視した売りが出ました。アナリストは、百貨店が保有する不動産の含み益への関心が高まった5月中旬以降に株価が大きく上昇してほぼ適正水準に到達していることを理由に挙げています。

ニトリホールディングス(9843)は一時3.1%安の13,540円をつけ年初来安値を更新しました。総務省が20日発表した5月のCPI(消費者物価指数)は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が前年同月と比べて3.7%上昇となり3%を上回るインフレ率によって個人消費を下押しするとの懸念が売りにつながりました。

業務用厨房機器大手のホシザキ(6465)は2.8%安の4,951円をつけ続落となりました。外資系証券が、同社の投資判断を3段階で最上位の「オーバーウエート」から真ん中の「イコールウエート」に、また目標株価を6,000円から5,500円に引き下げたことで、これを嫌気した売りが出ました。

高性能計算機ソリューションを手掛けるHPCシステムズ(6597)は一時9.0%高の2,230円をつけ年初来高値を更新しました。19日、2025年6月期(今期)の期末配当を、従来計画の26円から2円増配となる28円とする発表をし、これによって年間配当も前期実績の25円から増配となったことで、積極的な株主還元姿勢を好感した買いが集まりました。

VIEW POINT: 明日への視点

日経平均は週後半、軟調な推移となったものの、週間では568円(1.5%)高となりました。来週にむけては、引き続き地政学リスクによる株安が想定されます。

また日経平均は38,000円を超えたことで割安感も薄れる水準と考えられます。株主総会シーズンでもあり、総会の内容によっては個別株の物色が見られると考えられるものの、更なる上値を追う材料には乏しく、38,000円台で値固めができれば良いものと考えられます。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)