東京市場まとめ
1.概況
日経平均は26円安の38,858円と小反落で寄付きました。FOMC(米連邦公開市場委員会)を無難に通過するも、中東情勢の不透明感が意識され日本市場でも幅広い銘柄が売られました。日経平均は序盤から300円程下落し、一時は下げ幅が400円近くに達する場面が見られました。前日までに1,000円程上昇していたことも利益確定の売りを呼び、その後も安値圏で推移して287円安の38,597円で前引けとなりました。
後場も基調は変わらず、安値圏での推移となりました。特段の材料にも欠ける中、後場の後半は38,500円台で推移した日経平均は、徐々に下げ幅を拡大し、最終的には396円安の38,488円と安値引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が反落、0.6%安で取引を終えました。
2.個別銘柄等
日本製鉄(5401)は2.3%高の2,766円をつけ3日ぶりに反発となりました。米鉄鋼大手USスチールの買収を正式に完了したと発表し、また今回の買収計画を統括してきた森副会長兼副社長がこの買収での増資の可能性について「(1株当たり利益の)希薄化が起こるような形での増資は考えていない」と述べたことで増資懸念が和らいだことから買いが入りました。
川崎汽船(9107)は2.1%安の2,025円をつけ反落となりました。日本経済新聞は同社が1,000億円規模のM&A(合併・買収)を念頭に、「エクイティファイナンス(株主資本の増加を伴う資金調達)を視野に入れていることが分かった」と報じ、これによって増資に伴う1株利益の希薄化懸念から売り出ました。
サイバーエージェント(4751)は0.6%高の1,550.5円をつけ4日続伸となりました。国内証券が同社の目標株価を従来の1,400円から1,800円に引き上げ、これを材料視した買いが入りました。アナリストは「海外で高評価となるオリジナル作品が生まれれば、非連続の成長が期待できるだろう」と指摘しています。
OTC医薬品メーカーの大幸薬品(4574)は15.7%高の287円をつけ大幅続伸となりました。国立感染症研究所との共同研究で、同社の主力下痢止め薬「正露丸」の主成分である「木(もく)クレオソート」が、魚介類に潜む寄生虫のアニサキスの運動を抑制する働きがあることを確認したと発表し、近年、食中毒の発生が増加傾向にある中で将来的な収益拡大を目論んだ買いが入りました。
求人情報サービスを提供するポート(7047)は5.8%高の2,008円をつけ反発となりました。発行済み株式数(自己株式を除く)の1.26%にあたる16.6万株、金額にして3億円を上限とする自社株買いを追加で実施すると発表し、これによる株式需給の引き締まりを意識した買いが入りました。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均は4日ぶりに反落となりました。材料に欠けたことに加え、今週に入り1,000円程上昇していたことから、利益確定の売りが指数を押し下げました。明日の米国市場は、奴隷解放記念日「ジューンティーンス」の祝日で休場です。
日本では明日の寄付き前に全国CPI(消費者物価指数)が発表されます。前年同月比3%を超えるインフレが予想されているものの、先の金融政策決定会合にあるように、今回のデータで利上げを急ぐといった判断にはなり難く、大きな波乱要因とはならないものと考えられます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)