日中関係の緊張感の高まりで予想されるレアアース輸出規制

2025年も暮れようとしています。今年もたくさんの出来事や事件がありました。そのたびにマーケットは動揺し、それらを評価・精査して材料として機敏に消化してきました。

年末に急浮上したのがレアアースにまつわる問題です。2025年はレアアースの希少性を強く意識した年、大きな転換点を迎えた年と言えるかもしれません。

臨時国会における高市首相の台湾有事発言に端を発して、日本と中国との間で政治的な緊張が高まっています。高市首相は集団的自衛権の発動要件となる「存立危機事態」に関して、「日本政府の従来の立場を変えるものではない」との見方を採っており、この問題は簡単には解決しそうにありません。今後も対話の機会を設けて粘り強く打開の道を探るしかありません。

中国は日本に対して経済的な報復措置を徐々に強めています。今以上に問題がエスカレートした時に予想されるのがレアアースの輸出規制です。

リサイクル、代替品…中国依存脱却への道

2025年、レアアースを巡って国際情勢は大きく変化しました。中国が世界のレアアースの産出量の70%を握る以上、中国の輸出管理方針はそのまま世界のレアアースの需給動向に影響します。

そのことは日本の製造業にとって、極めて高いリスクにさらされることを意味します。未来の自動車生産には強力なモーターが不可欠で、そのような強力磁石の材料としてレアアースは欠かせない材料です。

トヨタ自動車(7203)をはじめ自動車メーカーやエレクロニクスメーカーは、レアアースを使わない部品を開発するか、中国以外のレアアースの供給元を確保するか、日本自らがレアアースを掘り出すか、いずれかの手段によってレアアース対策を講じる必要があります。

もともと資源小国の日本は、レアアースの使用量を減らす技術において世界をリードしてきました。すでに電化製品に組み込まれたレアアースを取り出して再利用するリサイクル技術や、レアアース代替品、レアアースフリーの強力モーターなどが開発され、将来性も有望と考えられています。

深海に眠るレアアースの試験掘削がスタート

深海に眠るレアアースを掘り出す動きも始まっています。海洋研究開発機構は2026年1月より、日本の最東端に位置する南鳥島の近海、水深6000メートルの海底に眠る大量のレアアースを取り出す試験掘削を始めます。海底にはジスプロシウム、イットリウム、ガドリニウムが埋蔵されていると見られます。

成功すれば世界初の快挙であり、日本は「資源小国」から「資源大国」へ。世界有数のレアアース産出国となる可能性を秘めています。引き続き2026年もレアアースの話題から目を離せません。

レアアース関連銘柄をピックアップ

三井海洋開発(6269)

浮体式石油・ガス生産設備の世界的企業。産油国の国営企業から受注して、浮体式原油生産貯蔵積み出し設備を設計・建造する。長期にわたる海洋プロジェクトでトータルのサービスを提供する日本唯一の企業。深海での作業ノウハウでも世界屈指の技術を持つ。海洋研究開発機構のプロジェクトに参画し揚泥システムの設計・開発に携わる。

【図表1】三井海洋開発(6269):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年12月25日時点)

DOWAホールディングス(5714)

非鉄精錬の大手。銅・亜鉛・レアメタルなどの製錬を中心に、環境・リサイクル、電子材料、金属加工、熱処理と幅広い。資源リサイクルに関しては1970年代からいち早く事業化に取り組んできた。電子部品やパソコンなどの基板類からの貴金属リサイクル、使用済み家電や電動自動車のリサイクルも実施。貴金属の回収に強い。

【図表2】DOWAホールディングス(5714):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年12月25日時点)

大同特殊鋼(5471)

世界最大規模の特殊鋼専業メーカー。自動車向けが売上の6割を占め、航空、エネルギー、半導体向けにも先進素材の拡販を図る。SmFeN(サマリウム・鉄・窒素)磁石を開発。レアアースを使ったネオジム磁石よりも優れた耐熱性と耐酸化性を有しており、より小型で高効率なモーター、センサーへの応用が期待されている。

【図表3】大同特殊鋼(5471):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年12月25日時点)