【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 42,215.80 ▼299.29 (6/17)
NASDAQ: 19,521.09 ▼180.12 (6/17)
1.概況
昨日の米国市場では、主要3指数が揃って反落しました。寄付き前に公表された5月の米小売売上高と米鉱工業生産指数が市場予想を下回ったことを受けて景気減速懸念が広がったほか、核開発問題を巡るイスラエルとイランの軍事衝突や米政府の関与を巡って中東情勢の緊張感が高まったことから、投資家のリスクオフムードが強まりました。
ダウ平均は156ドル安の42,358ドルで取引を開始すると、下げ幅を縮め一時は15ドル高の42,530ドルまで回復しました。しかし、高値を付けた後は再び売りが優勢となり、取引終盤にかけて下げ幅を広げました。382ドル安の42,132ドルまで下落した後、引けにかけてやや下げ幅を縮小し、結局299ドル安の42,215ドルで取引を終え、反落となりました。
また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は180ポイント安の19,521ポイント、S&P500株価指数は50ポイント安の5,982ポイントで取引を終え、いずれも反落しました。
2.経済指標等
米国の5月の小売売上高は、前月比0.9%減となり、市場予想(0.7%減)と前回結果(0.1%減)を下回りました。また、自動車を除いたコア小売売上高は、前月比0.3%減となり、こちらも市場予想(0.2%増)と前回結果(0.0%)を下回りました。5月の米鉱工業生産指数は、前月比0.2%低下となり、市場予想と前回結果(いずれも0.1%上昇)を下回りました。
3.業種別動向
S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうちエネルギーの1業種のみが上昇となりました。エネルギーは1%以上上昇しています。一方で、その他の10業種は下落となり、特にヘルスケアや一般消費財・サービス、素材は1%以上下落しました。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は、全30銘柄のうち4銘柄が上昇となり、特にシェブロン[CVX]は2%近く上昇しました。そのほか、ビザ[V]やアイビーエム[IBM]、ユナイテッドヘルス・グループ[UNH]が小幅に上昇しています。一方で、26銘柄が下落となり、特にメルク[MRK]とナイキ[NKE]は3%超下落しました。その他、スリーエム[MMM]やアムジェン[AMGN]、ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]、ベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]など13銘柄が1%以上下落しました。
ダウ平均構成銘柄以外では、電子機器受託製造のジェイビル・サーキット[JBL]が8.9%上昇してS&P500株価指数構成銘柄の値上がり率ランキングでトップとなりました。また、中東情勢の緊迫化を受け、石油関連株や防衛株が買われ、エクソン・モービル[XOM]は1.4%高、ロッキード・マーチン[LMT]は2.6%高、RTX[RTX]は1.4%高となりました。
一方で、米上院共和党が風力・太陽光発電向けの税額控除を、他の電源よりも早く終了させる法案を発表したことを受け、太陽光発電関連株が大幅安となり、エンフェーズ・エナジー[ENPH]は24.0%安、ファースト・ソーラー[FSLR]は17.9%安、コンプリート・ソラリア[SPWR]は20.1%安、サンラン[RUN]は40.0%安となりました。また、ワイヤレスネットワーク会社のTモバイル[TMUS]は、ソフトバンクグループ(9984)が人工知能(AI)事業原資調達のために保有する同社株を売却したことが明らかになり、4.1%下落しました。
5.為替・金利等
米長期金利は、前日から0.05%低い4.39%で取引を終えました。ドル円は、145円台前半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
昨日の米国市場では、中東情勢の緊迫化と米国景気の減速懸念から主要3指数が揃って反落となりました。この流れを受け、本日の日本市場も下落してのスタートが予想されます。日経平均は、5日移動平均線(38,255円、6/17時点)をサポートに下値を維持できるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)