【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 42,865.77 ▼1.10 (6/11)
NASDAQ: 19,615.88 ▼99.11 (6/11)
1.概況
昨日の米国市場では、主要3指数が揃って小幅に反落しました。米国と中国の代表団がロンドンで行った貿易協議で、貿易摩擦の緩和に向けた暫定的な計画に合意したことが好感され、寄付き後は上昇しました。また、5月の米CPI(消費者物価指数)が市場予想を下回ったことで、インフレ懸念の緩和による利下げ期待が高まり、相場を後押ししました。一方で、このところ上昇していたハイテク株に利益確定売りや持ち高調整の売りが出たほか、イランが、米国との核協議が頓挫し、両国間で紛争が発生した場合には米軍基地を攻撃すると警告したことから、中東の地政学的リスクが意識され、下落に転じました。
ダウ平均は15ドル高の42,882ドルで取引を開始すると、取引中盤にかけて上げ幅を広げ、248ドル高の43,115ドルでこの日の高値を付けました。高値を付けた後は、取引終盤にかけて売りが優勢となり、下げに転じて一時128ドル安の42,738ドルまで下落しました。引けにかけては下げ幅を縮小し、最終的に1ドル安の42,865ドルで取引を終え、反落となりました。
また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は99ポイント安の19,615ポイント、S&P500株価指数は16ポイント安の6,022ポイントで取引を終え、いずれも4日ぶりに反落とました。
2.経済指標等
5月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.4%上昇となり、前回結果(2.3%上昇)を上回ったものの、市場予想(2.5%上昇)は下回りました。前月比では0.1%上昇となり、市場予想と前回結果(ともに0.2%上昇)を下回りました。一方、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前月から横ばいの前年同月比2.8%上昇となり、市場予想(2.9%上昇)を下回りました。前月比では0.1%上昇となり、市場予想(0.3%上昇)と前回結果(0.2%上昇)を下回りました。
3.業種別動向
S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうち4業種が上昇となり、特にエネルギーが1%超上昇しました。そのほか、公益事業、ヘルスケア、資本財・サービスが小幅に上昇しました。一方で、7業種が下落となり、特に一般消費財・サービスが1%超下落したほか、素材が1%近く下落しました。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は30銘柄中10銘柄が上昇となりました。特に、ユナイテッドヘルス・グループ[UNH]が2%超上昇したほか、アイビーエム[IBM]やゴールドマン・サックス[GS]、スリーエム[MMM]、キャタピラー[CAT]、シェブロン[CVX]が1%以上上昇しました。一方で、20銘柄が下落となり、特にアマゾン・ドットコム[AMZN]とホームデポ[HD]が2%超下落したほか、アップル[AAPL]やウォルマート[WMT]、シスコシステムズ[CSCO]、メルク[MRK]、ナイキ[NKE]、シャーウィンウィリアムズ[SHW]が1%以上下落しました。
ダウ平均構成銘柄以外では、コーヒーチェーンのスターバックス[SBUX]が、中国地域での成長を活性化するための取り組みの一環として、中国事業における少数株式の売却を検討しており、多くの関心が寄せられていると最高経営責任者(CEO)が明らかにしたことを受けて、4.3%上昇しました。また、電力インフラ会社のタレン・エナジー[TLN] は、アマゾン・ドットコムとデータセンター用に原子力発電に関する協定を締結したと発表し、7.7%上昇しました。一方で、航空機メーカーのロッキード・マーチン[LMT]はトランプ政権がF35戦闘機受注を半減したため、4.3%下落しました。また、インテル[INTC]は前日に大きく上昇した反動もあり、6.4%下落してS&P500株価指数構成銘柄の値下がり率ランキングでワーストとなりました。
5.為替・金利等
米長期金利は、前日から0.05%引く4.42 %で取引を終えました。ドル円は、144円台半ばで推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
昨日の米国市場では主要3指数が揃って小幅に反落となりました。これを受け、日本市場は小動きでのスタートが予想されます。引き続き為替や長期金利の動きをにらんだ展開となりそうです。個別では、中国は米国の自動車メーカーや製造業者向けのレアアース輸出許可に6ヶ月の制限を設ける方針と、複数の関係者が明らかにしたと報じられており、関連の銘柄の売りが警戒されます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)