東京市場まとめ
1.概況
日経平均は157円安の37,590円で寄付きました。5月の米ISM非製造業景気指数が景況感の悪化を示唆する結果となり、また5月のADP雇用者数が市場予想を大きく下回り、米景気悪化の警戒感から円が買われ、これが日本市場では逆風となりました。軟調なスタートとなったものの、徐々に下げ幅を縮小し底堅い推移となった日経平均は、88円安の37,658円で前引けとなりました。
後場は再び下げ幅を拡大し、安値圏での推移となりました。13時28分に219円安の37,527円をつけ本日の安値を更新しました。日本時間6日夜に控える5月の米雇用統計を前に、買い向かう姿勢も見られず、後場は37,500円台での推移となり、15時台に一時37,650円ほどまで下げ幅を縮めるも最終的には192円安の37,554円で大引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が5日ぶりに反落、0.4%安で取引を終えました。
2.個別銘柄等
アドバンテスト(6857)は4.6%高の7,756円をつけ大幅続伸となりました。前日の米国市場では、半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が1.4%高と堅調に推移したほか、米国時間5日には米ブロードコム[AVGO]の決算発表が予定されており、事前の市場予想では堅調な売上高が見込まれることから、日本の半導体銘柄にも先回り的な買いが入りました。
任天堂(7974)は2.0%安の11,850円をつけ反落となりました。市場の注目を集めてきた任天堂の新型ゲーム機「Nintendo Switch 2(ニンテンドースイッチ・ツー)」が本日5日発売となり、一時は上昇する場面が見られるも、目先の材料出尽くし感から利益確定の売りが優勢となりました。
スズキ(7269)は3.0%安の1,663円をつけ5日続落となりました。日本経済新聞は、同社が「中国によるレアアース(希土類)の輸出規制を受けて小型車『スイフト』の生産を停止していることが分かった」と報じており、今後の自動車生産への影響を懸念した売りが出ました。
月面開発の宇宙ベンチャーであるispace(9348)は4.3%安の1,044円をつけ3日ぶりに反落となりました。2025年1月に打ち上げた月面着陸船「ミッション2」が日本時間6日午前4時17分に月の「氷の海」の中央付近に着陸予定と発表しており、成否への期待と不安から日中は前日終値である1,091円を挟んで一進一退の推移となりました。
農業ベンチャーである農業総合研究所(3541)は一時12.1%高の418円をつけ、年初来高値を更新しました。取引時間中に、クボタ(6326)と農機のシェアリング等における連携協定を締結したと発表し、これによって新規就農者の開拓といった同社が手掛ける直売所事業とのシナジーが生まれるとの期待が買い材料となるも、終値は0.3%安の372円となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均は、192円安となり反落で取引を終えました。明日の材料は、赤沢経済再生担当相が訪米し、5回目の関税協議に臨むほか、ECB(欧州中央銀行)の政策金利発表、またルルレモン・アスレティカ [LULU]とブロードコムといった企業の決算発表が予定されています。
関税交渉は6月中旬から始まるG7サミットで一定の合意を目指すといった報道もあり影響は限定的と考えられ、足元で好調に推移する半導体セクターに関連し、ブロードコムの決算内容が大きな材料となりそうです。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)