東京市場まとめ

1.概況

米中の貿易摩擦の高まりを背景に、先週末の米国市場ではハイテク株安となった流れを引き継ぎ日経平均は313円安の37,651円と続落で寄付きました。トランプ米大統領が、自身のSNSに中国が米国との「合意を完全に破っている」と投稿しており、二国間の緊張感の高まりがリスクオフにつながりました。徐々にと下げ幅を拡大した日経平均は、551円安の37,414円で前引けとなりました。

後場は売りが優勢で始まり、12時32分に644円安の37,320円をつけ本日の安値を更新しました。その後は持ち直すも、下げ幅を縮める材料に欠ける中で37,400円台での推移となり、最終的には494円安の37,470円で大引けとなりました。

一方、新興市場では東証グロース250指数が続伸、0.1%高で取引を終えました。

2.個別銘柄等

三菱重工業(7011)は一時1.3%高の3,394円をつけ株式分割考慮後で実質的な上場来高値を更新しました。ウクライナ軍は、ロシア・シベリアの同軍基地を初めて攻撃したとし、地政学リスクの高まりが意識されたことで、防衛関連銘柄である同社の株式に買いが入りました。一方で、高値では利益確定の売りが入り、終値では0.4%安の3,340円で取引を終えました。

住友不動産(8830)は2.1%高の5,674円をつけ続伸となりました。アクティビスト(物言う株主)として知られるエリオット・インベストメント・マネジメントが同社株式を3月末時点で2.99%保有していることが分かり、株主還元強化の要求が出されることへの期待感から買いが集まりました。

パーク24(4666)は5.6%安の1,897.5円をつけ5日ぶりに反落となりました。5月30日、6月16日に予定していた第二四半期決算の発表を延期すると発表し、ガバナンス(企業統治)の不備や業績への影響を懸念した売りが入りました。

協栄産業(6973)はストップ高水準となる22.5%高の2,727円をつけ大幅続伸となりました。半導体商社の加賀電子(8154)が同社に対し、1株3,950円でTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表し、プレミアムを狙った買いが殺到しました。

ネット通販支援の売れるネット広告社グループ(9235)は一時19.7%高の1,808円をつけ年初来高値を更新しました。5月30日に通販向け決済サービスを運営するネットプロテクションズホールディングス(7383)と業務連携すると発表し、将来的な収益拡大に期待する買いが入りました。

VIEW POINT: 明日への視点

米中の貿易摩擦への警戒感から、日本市場は売りが優勢となりました。進展していたと思われていた米中貿易交渉も停滞の様子で、当面は交渉の進展が待たれるでしょう。明日に向けて、経済指標では、米国で4月のISM製造業景気指数が材料となりそうです。

市場予想では節目の50は下回るものの前回からは拡大となる49.2が予想されています。また、パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長や連銀総裁といった要人の発言の場もあり、先週末のPCEデフレーターをうけた金融政策の見通しに注目が集まります。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)