BTCが買われた3つの要因

・ビットコインとナスダック総合指数のチャートを重ねてみると、4月2日の相互関税発表からビットコインも下落。しかし関税リスクの後退に伴い、ナスダックも価格が戻り、リスク資産としてのビットコインの買いも戻っている。

・ビットコインとドル指数のチャートを重ねてみると、関税ショック後、米国はいわゆるトリプル安となり、ドル指数は低下。その一方で、ビットコインチャートは逆相関で上昇。米国から資産を引き上げる動きがあり、逃避的にビットコインが買われる動きが4月後半からみられる。国や企業の経済の影響を受けづらい資産としての注目度が高まっていると思われる。

・ビットコインと金(ゴールド)のチャートを重ねてみると、4月以降、金が史上最高値を更新する中、ビットコインもつられて上昇。その背景には前述のドル指数の低下のほか、ロシア・ウクライナ戦争の停戦交渉難航、印パ軍事衝突など、地政学リスクを意識した逃避買いある。不確実性がある中、デジタルゴールド的な見方がより広がってきているのだろう。

金(ゴールド)に次いで底打ちからの回復期間が早いBTC

・関税ショック以降、底打ちからの回復が一番早かった資産は金で、2日間で元の水準に戻った。次いでビットコインの13日。最後に戻るのがようやく株式となる。ビットコインをリスク資産としてみる投資家も多い中、一方でデジタルゴールドとしての見方も強まっている。株と金のあいだ、中間的な買われ方をしている。

・2020年コロナショック時の底打ちからの回復日数に注目すると、当時もやはり金の回復日数が短く、次いでビットコインとなる。当時よりも短縮していることから、デジタルゴールド的な見方をする投資家が増えていることがわかる。ビットコインと金はよく比較されるが、2024年末は金の時価総額に対してビットコインの時価総額は10%水準まで伸びている。この割合が、おそらく5年、10年後にはさらに伸びている可能性が高い。

暗号資産市場ならではの材料に注目

・米国では国とは別に、州ごとにビットコイン準備金を導入する動きがあり、20州以上が関連法案を審議中。ニューハンプシャー州ではビットコイン準備金法案が成立。市場としては注目度の高い動きとなる。ビットコインを財源の一部とすることで、暗号資産関連の事業者を呼び込むことができ、州としての財源を効率化できる。実際の事例を踏まえ追随する動きも出てくると、より買いが広がり価格水準が上がることが期待できる。米ビットコイン現物ETFの資金フローもプラスで推移。

・今後の主な予定としては、まずビットコイン準備金に関する報告書は5月が期限となっており、それがどのような内容になるか。6月FOMC(米連邦公開市場委員会)では利下げが予想されているがどうなるか。個人的にカギは7月。暗号資産規制に関する報告書、アルトコイン現物ETFの審査、米国の相互関税上乗せ部分の発動などの期限となっている。7月にかけてもみ合うような展開が予想され、その中で不透明性が解消されれば、今よりも価格を伸ばす可能性もある。