パウエル議長「以前のように予防的に利下げをする状況ではない」
現地5月7日に米国のFOMC(連邦公開市場委員会、日本の金融政策決定会合に該当)が開催され、政策金利は市場予想通り据え置きとなりました。
声明文では、経済見通しにおける不確実性の高まりが指摘され、失業率とインフレの上昇リスクに触れています。
その後の記者会見でパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、関税によるインフレへの影響は一時的、としながらも今後根強いものとなるリスクにも言及しました。また貿易の変動が影響しているものの、経済は堅調との見解を示しています。
そのような認識から、利下げに関しても急ぐ必要は無く、辛抱強くなるスタンスが強調され、また以前のように景気減速に備え予防的に利下げをする状況ではないとの姿勢を示しています。
なお、政権からの利下げ圧力も報道される中、議長は政策の方向性は経済データに従う点を強調しています。
最初の利下げは7月以降か、年後半の断続的な利下げは経済の鈍化基調が前提
現在市場では年内3回の利下げが見込まれており、最初の利下げは7月以降と予想されています。足元で進行中の関税交渉の行方や関税の影響がどの程度今後の経済指標に反映されるのか、が焦点となるほか、年末に向けては減税など景気刺激策の出方も金融政策に影響を与える可能性があります。当面FRBの出方は政権の動きとその後のデータ次第となります。
市場にとって金融緩和へのシフトは景気を支える役割として歓迎される一方、予想される年後半の断続的な利下げは、経済の鈍化基調が前提となっています。分散投資のスタンスでその際の市場変動にも備える必要があるでしょう。