【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 40,829.00 ▼389.83 (5/6)
NASDAQ: 17,689.66 ▼154.58 (5/6)
1.概況
昨日の米国市場は、主要3指数が揃って続落しました。トランプ大統領が5日に、2週間以内に医薬品への関税を発表する方針であることに加え、来週には医薬品価格に関連して大きな発表を行う意向を示したことで、警戒感が広がり、ヘルスケア関連株を中心に売りが強まりました。また、7日にFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果発表を控えるなか、主力株には持ち高調整の売りも見られました。
ダウ平均は218ドル安で取引を開始し、一時は459ドル安まで下落しました。その後、54ドル安まで下げ幅を縮める場面もありましたが、再び売りに押され、最終的に389ドル安の40,829ドルで取引を終え、続落となりました。
また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は154ポイント安の17,689ポイント、S&P500株価指数は43ポイント安の5,606ポイントで取引を終え、いずれも続落しました。
2.経済指標等
3月の米貿易収支は、前月比14%拡大の1405億ドルの赤字となり、市場予想を上回って過去最大となりました。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は、全11業種のうち公益事業とエネルギーの2業種が上昇となり、特に公益事業は1%超上昇しました。一方で、9業種が下落となり、なかでもヘルスケアが2%超下落しました。その他、資本財・サービスや一般消費財・サービス、不動産などが1%未満の下落となりました。
4.個別銘柄動向
昨日の米国市場では、ダウ平均構成銘柄は全30銘柄中8銘柄が上昇となりました。なかでも、ベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]が1%超上昇したほか、マクドナルド[MCD]やセールスフォース[CRM]、プロクター・アンド・ギャンブル[PG]などが小幅に上昇しています。一方で、22銘柄が下落し、なかでもメルク[MRK]は4%を超える下落となったほか、アムジェン[AMGN]も3%超下落しました。また、ユナイテッドヘルス・グループ[UNH]、シャーウィンウィリアムズ[SHW]、ハネウェル・インターナショナル[HON]も2%超下落したほか、スリーエム[MMM]、ゴールドマン・サックス[GS]、ジェイピー・モルガン・チェース[JPM]も1%超下落しました。
ダウ平均構成銘柄以外では、カーボンフリーエネルギー製品・サービスを提供するコンステレーション・エナジー[CEG]は、10.3%上昇してS&P500株価指数構成銘柄の値上がり率ランキングでトップとなりました。同社は、取引開始前に公表した第1四半期決算で増収、減益となったなか、データセンターや工場に原子力エネルギーを供給する長期契約を締結寸前であると発表したことが好感されています。また、肥満治療薬の調剤版を販売する遠隔医療プラットフォームのヒムズ&ハーズ・ヘルス[HIMS]は、第1四半期決算でEPS(1株当たり純利益)は市場予想を下回ったものの、売上高が市場予想を上回って大幅増収となったことが好感され、18.1%上昇の大幅高となりました。一方で、ビッグデータ分析のパランティア・テクノロジーズ[PLTR]は、12.0%下落の大幅安となりました。同社は、第1四半期決算で増収、増益を発表し、2025年12月期通期の収益見通しを上方修正した一方で、年初から大きく上昇してきたなか足元での割高感が意識され売りが膨らみました。
5.為替・金利等
米長期金利は、前日から0.05%低い4.29 %で取引を終えました。ドル円は、143円台前半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
先週2日の米国市場は、4月の米雇用統計が労働市場の底堅さを示したことを受けて、ダウ平均が564ドル高となり、9日続伸となりました。一方で、関税政策への懸念がくすぶるなか、5日にはダウ平均が98ドル安と反落し、昨日も389ドル安と続落しました。日本市場の連休期間中、ダウ平均はトータルで76ドル高となり、小幅ながら上昇しています。こうしたなか、日経平均は直近二日間の米株市場の続落を受けた流れが意識されるほか、外国為替市場での円高進行が重荷となり、売りが先行して始まりそうです。
今週は国内企業の決算発表が引き続き多く、8日にトヨタ自動車(7203)、任天堂(7974)、日本郵船(9101)、IHI(7013)などの決算が予定されています。また、本日はFOMCの結果公表も控えており、政策決定の内容やパウエル議長の発言に注目が集まります。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)