【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 40,545.93 ▼1,679.39 (4/3)
NASDAQ: 16,550.61 ▼1,050.44 (4/3)
1.概況
昨日の米国市場は、主要3指数がそろって大幅下落となりました。トランプ大統領が2日に発表した「相互関税」の内容が市場の想定よりも厳しい内容となり、経済への警戒感が高まり市場では売りが広がりました。また、3月のISM非製造業景気指数が市場予想を下振れし前月から低下したことで、景気後退懸念が強まり一段と売りの勢いが強まりました。
ダウ平均は1,238ドル安で取引を開始すると、取引終盤にかけて一段と売りの勢いが強まり下げ幅は一時1,712ドル安まで達しました。最終的に1,679ドル安の40.545ドルと、その日の安値圏で取引を終え、急反落となりました。この日の下げ幅は新型コロナウイルス禍の2020年6月以来の大きさとなりました。
また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は1,050ポイント(6.0%)安の16,550ポイントで取引を終え3日ぶりに、S&P500株価指数は274ポイント(4.8%)安の5,396ポイントで取引を終え、4日ぶりに大きく反落しました。
2.経済指標等
3月のISM非製造業景気指数は50.8となり、市場予想(53.2)と前回結果(53.5)を下回りました。一方、先週一週間の新規失業保険申請件数は前週比6000件減の21万9000件となり市場予想を下回って労働市場が依然として安定していることを示しました。2月の貿易収支は過去最大となった1月の1,307億ドルから6.1%縮小して1,227億ドルとなりました。
3.業種別動向
S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうち生活必需品の1業種のみが1%未満の上昇となりました。一方で、10業種が下落となり、特にエネルギーが7%以上下落したほか、情報技術と一般消費財・サービスが6%以上下落、資本財・サービスと金融は5%以上下落、コミュニケーション・サービスと素材は4%以上下落、不動産は3%近く下落となりました。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄では、30銘柄のうち7銘柄が上昇し、特にユナイテッドヘルス・グループ[UNH]が3%以上上昇しました。そのほか、ディフェンシブ銘柄の上昇が目立ち、ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]やコカコーラ[KO]、マクドナルド[MCD]が2%以上上昇したほか、ベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]やプロクター・アンド・ギャンブル[PG]、アムジェン[AMGN]が1%以上上昇しました。
一方で、23銘柄が下落となり、特にナイキ[NKE]は14%安となったほか、ボーイング[BA]は10%安、アメリカン・エキスプレス[AXP]やゴールドマン・サックス[GS]、ウォルト・ディズニー[DIS]、アップル[AAPL]は9%以上安となりました。そのほかの多くの銘柄も大きく下落しています。
ダウ平均構成銘柄以外では、インテル[INTC]が台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング[TSM]と半導体製造の合弁会社設立で暫定合意したと伝わり、2.0%上昇しました。また、冷凍ポテトを製造するラム・ウェストン・ホールディングス[LW]は、第3四半期決算で市場予想を上回る売上高、EPS(1株当たり純利益)を達成し、10.0%上昇してS&P500株価指数構成銘柄の値上がり率ランキングでトップとなりました。
一方で、デル・テクノロジーズ[DELL]は、19.0%下落してS&P500株価指数銘柄の値下がり率ランキングでワーストとなりました。その他、多くの銘柄も大幅安となり、アパレルのギャップ[GAP]は20%以上下落したほか、ラルフローレン[RL]やデッカーズ・アウトドア[DECK]は10%以上下落しました。また、金融のシティグループ[C]、バンク・オブ・アメリカ[BAC]、インベスコ[IVZ]も10%以上下落しています。そのほか、クアルコム[QCOM]は9.5%安、メタ・プラットフォームズ[META]は9.0%安、テスラ[TSLA]は5.5%安、パランティア・テクノロジーズ[PLTR]は4.4%安、アルファベット[GOOGL]は4.0%安となりました。
5.為替・金利等
米長期金利は前日から0.1%低い4.03%となりました。ドル円は、円高方向に進展して145円台後半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
昨日の米国市場は、トランプ大統領が2日に発表した「相互関税」の内容が市場の想定よりも厳しかったことから、急反落となりました。この流れを引き継ぎ、本日の日本市場も大幅続落でのスタートが予想されます。日経平均株価は、心理的な節目である3万4000円を割り込み、下げ幅を広げる展開が想定されます。
トランプ大統領による方針転換などの材料がない限り、相場反転のきっかけに乏しく、短期的な下値の目処としては、2024年8月5日の終値である3万1458円が意識されます。なお、本日夜には米国の雇用統計の発表と、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演も控えています。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)