東京市場まとめ
1.概況
前日の米国株安を受け、日経平均は183円安の36,606円と続落で寄り付きました。米政権の関税政策の不透明感を背景に朝方は弱含むも、下落局面で算出日を迎えた株価指数先物・オプション3月物の特別清算指数値の36,483円を下回らなかったことから、目先の上昇を見込んだ買いが入りました。
前場は小幅に上昇し129円高の36,919円で取引を終えました。後場も株価指数先物の上昇が後押しし、日経平均は堅調に推移しました。37,100円付近で一進一退の時間が続き、最終的には263円高の37,053円と上げ幅をわずかに縮め大引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が1.5%高と反発し取引を終えました。
2.個別銘柄等
セブン&アイ・ホールディングス(3382)は1.8%安の2,168円をつけ5日ぶりに反落となりました。スティーブン・ヘイズ・デイカス次期社長がカナダのアリマンタシォン・クシュタールによる買収提案は時間を要するもので、「その間に施策が打ち出せない場合は企業価値も株主利益も損なわれる」といった見方を示し、買収にかかる不透明感が意識されたことで売りが優勢となりました。
東京電力ホールディングス(9501)は3.3%高の434.9円をつけ続伸となりました。日本経済新聞が、同社は「資産や投資の圧縮を通じて1,000億円規模の収支改善を進める」と報じたことで買いが入りました。
リクルートホールディングス(6098)は2.6%安の8,496円をつけ4日続落となりました。14日、同社株を保有するTOPPANホールディングス(7911)が2025年3月期において、投資有価証券売却益755億円を特別利益として計上すると発表しました。保有していた同社株を売却したとの思惑が広がり、需給の緩みを警戒した売りが株価を押し下げました。
キヤノン(7751)は2.7%高の4,870円をつけ6日ぶりに反発となりました。13日、発行済み株式総数(自己株式を除く)の2.8%にあたる2,600万株、金額にして1,000億円を上限とする自社株買いを実施すると発表し、株主還元を評価する買いが入りました。
業務用食品卸売グループのトーホー(8142)はストップ高となる18.2%高の3,250円をつけ東証プライム市場にて上昇率トップで取引を終えました。13日に、2026年1月期(今期)の当期純利益は前期比4.8%増の47億円、また年間配当は前期比25円増の150円との計画を発表しとことからを買いが膨らみました。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均は週間で0.4%高で取引を終えました。米政権による関税政策の不透明感が投資家心理を下押ししており、上値の重さがうかがえました。来週は、中銀ウィークとなり各国の金融政策動向に注目が集まります。日本では、3月会合での政策金利据え置きが大方のコンセンサスとなる中、足元の動向を日銀がオントラックと評価するかに注目です。
米国では、FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げを急がないスタンスであることが織り込まれている中、経済見通し(SEP)の発表に注目が集まります。足元の関税政策を反映し先行きのインフレの上方修正、GDPの下方修正等が発表されると考えられます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)