S&P500の動きと市場心理、トランプ氏×ゼレンスキー氏会談の影響は?
先週2月28日(金)の米国株市場は反発したものの、週間ベースではS&P500が0.98%、ナスダック100が3.38%の下落で終わりました。2月全体のリターンは1.42%のマイナスとなりましたが、年初来では1.24%のプラスを維持しています。
前々週(2月17日週)に発表されたミシガン大学消費者信頼感指数の低調な結果や、ウォルマート[WMT]の弱気な業績ガイダンスを受けて、市場の地合いは悪化していました。さらに、2月25日に発表されたコンファレンスボードの消費者信頼感指数が、個人消費の悪化を示唆する内容だったことが市場心理をさらに冷やしました。
先週2月28日(金)には、トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領との会談が決裂したというニュースが流れ、緊張感が高まりました。S&P500は一時100日移動平均線(5952.58)を下回りましたが、最終的には5954.50で引け、わずかに移動平均線を上回る形となりました。これにより、一旦の安心感が生まれましたが、S&P500は過去最高値から4.4%下落し、オーバーソールド(売られすぎ)の状態にあったため、リバウンドしやすい状況でもありました。
2月末の40億ドル(約6000億円)を超える大規模な買い注文やファンドのリバランスが押し上げ要因となった可能性があります。ナスダック100は先週一時4.5%下落しましたが、28日(金)には若干の反発し、最終的に3.5%の下落にとどまりました。
エヌビディア[NVDA]株は決算発表翌日に9%急落、大型ハイテク株も軒並み下落
先週(2月24日週)は、特にAI関連銘柄にとって厳しい1週間でした。本連載の記事「エヌビディアの決算が示す未来、AI時代の覇者はどこへ向かうのか?」でも触れたように、エヌビディア[NVDA]の決算発表がその背景にあります。
エヌビディアの決算自体は市場予想を上回る好結果でしたが、AI関連銘柄全般が売られ、ソフトウェア株も急落しました。「マグニフィセント・セブン(Magnificent Seven)※」と呼ばれる大型ハイテク株も軒並み下落し、エヌビディアの株価は決算発表翌日の27日(木)に約9%急落。これは、2018年11月以来最大の決算発表後の下落幅となりました。
この売りの背景には、2024年にS&P500のリターンを大きく上回って上昇したエヌビディアや、他のマグニフィセント・セブン銘柄に対する投資家のポジション調整(利益確定の売り)があったと考えられます。しかし、私は2025年のマグニフィセント・セブンの下落は「買われすぎによる株価の調整」にすぎず、これでそれらのさらなる株価上昇が終わったとは思っていません。
コカ・コーラ[KO]などディフェンシブ銘柄の堅調な動き
2025年の市場では、ディフェンシブ銘柄(守りの銘柄)の上昇が目立ちます。これまでS&P500が1.24%上昇する中で、アルトリア・グループ[MO]は 6.81%、コカ・コーラ[KO]は14.38%、AT&T[T]は 20.38%それぞれ上昇しています。これらの銘柄は、市場が不安定な時期に相対的に強いパフォーマンスを示しやすい特徴があります。長期投資を考えている方は、ポートフォリオにディフェンシブ銘柄を組み入れてはいかがでしょうか。
トランプ米大統領復帰がもたらす「不確実性」にマーケットが反応
トランプ米大統領のホワイトハウス復帰は、市場に新たな不確実性をもたらしました。株式市場は「不確実性を嫌う」性質があり、2月のマーケットの動きがそれを証明しています。
特に、関税の引き上げ政策は、選挙キャンペーンの公約として予想されていたものの、実際にトランプ政権がメキシコ・カナダへの関税措置を本格化させると、市場はその影響を懸念し始めました。関税の引き上げがインフレに与える影響や、中国などの報復関税の応酬が米国経済に及ぼす影響について、投資家は真剣に考え始めています。
また、テスラ[TSLA]CEOのイーロン・マスク氏率いるDOGE(政府効率化省)による連邦政府職員のレイオフについても話題となっています。しかし、実際の影響はメディアの報道ほど深刻ではなく、300万人の連邦政府職員のうち、レイオフの対象は10万人未満にとどまるとみられています。
投資家センチメントは悪化、米雇用統計が市場の転換点となるか?
市場の急落に伴い、投資家のセンチメントも急速に悪化しています。

2025年2月27日時点のAAII(米国個人投資家協会)のブル・ベア指数は-41.2%となっており、前回この水準まで下がったのは2022年9月23日(-43.2%)でした。この指数は逆張り指標とされており、極端に弱気なセンチメントが増えることは、逆に市場にとってはポジティブな要素になり得ます。なぜなら、2022年9月23日から3ヶ月間でS&P500は5%上昇したのです。
現在、米国経済の約3分の2を占める個人消費の動向に懸念が高まっています。今後の株式市場の上昇には、経済指標を1つずつ確認していくことが重要です。
今週3月7日(金)に発表される米雇用統計は、市場の転換点となる可能性があります。しかし、もしS&P500がさらに下落し、2024年8月のように売られ過ぎの水準まで落ち込んだ場合、特にネガティブな材料が出てこなければ、その水準は長期投資家にとって良いエントリーポイントとなると考えています。
(※)マグニフィセント7:アップル[AAPL]、マイクロソフト[MSFT]、アルファベット[GOOGL]、アマゾン・ドットコム[AMZN]、メタ・プラットフォームズ[META]、エヌビディア[NVDA]、テスラ[TSLA]