トランプ政権の関税政策を巡る不透明感で、市場ではリスク回避の動きが強まる

先週(2月3日週)の米国株式市場は、トランプ政権の関税政策の不透明感とテクノロジー企業の決算動向が交錯し、不安定な展開となりました。

市場の大きな焦点は、トランプ政権の関税政策の行方でした。週初には、メキシコおよびカナダに対する25%の関税が発動される可能性が懸念され、市場は大きく下落しました。しかし、関税の適用が30日間延期されたことで、一時的に市場には安堵感が広がったのです。

一方で、中国への10%の関税は予定通り発動され、市場の警戒感は根強く残りました。さらに2月7日(金)には、トランプ大統領が相互関税の導入を発表し、今週(2月10日週)にも詳細を公表すると明言、これを受けて再び売り圧力が高まり、市場はリスク回避の動きが強まったのです。最終的にはS&P500は週間で0.24%下落、ナスダック100はわずか0.06%の上昇にとどまりました。

総じて堅調だが、明暗分かれる決算シーズン

先週(2月3日週)のマーケットでは、第4四半期の決算発表が市場の支えとなる一方で、個別銘柄ごとに明暗が大きく分かれる展開となりました。

特に、AI関連の成長期待が高まる中、パランティア・テクノロジーズ[PLTR]は力強い決算を発表しました。売上は前年同期比36%増、EPSも市場予想を上回り、株価は週間で34.4%上昇しています。

一方で、グーグルの親会社アルファベット[GOOGL]やアマゾン・ドットコム[AMZN]のクラウド事業の成長鈍化が嫌気され、それぞれ先週1週間で9.2%、3.6%下落しました。加えて、テクノロジー大手の多額の設備投資計画もマーケットの不安要因となっています。アルファベットはAI関連の設備投資を前年比43%増の750億ドルに拡大すると発表し、これが投資家心理を冷やす要因となりました。

また、これらの動きを受けエヌビディア[NVDA]のGPUに対する需要は引き続き高いと判断され、同社の株価は先週8.1%上がったのです。

先週末までにS&P500採用銘柄のうち308社が第4四半期の決算発表を終えていますが、全体としては前年同期比13.29%の増益となり、事前予想の7.3%を大きく上回る結果となっています。

景気指標の影響とインフレ懸念の再燃

景気指標も市場のボラティリティを高めました。2月7日に米国1月の雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を下回り、失業率は4.0%に低下したのです。加えて、ミシガン大学の消費者信頼感指数の結果でインフレ懸念が急上昇したことが、金利上昇観測を強め、2月7日(金)のマーケットを押し下げました。

今後の見通しについて、マーケットは引き続きトランプ政権の貿易政策に神経をとがらせる展開となるでしょう。特に今週発表予定の「相互関税」の具体策が企業収益にどのような影響を与えるのかが注目されます。加えて、AI関連の設備投資増加、インフレ懸念上昇による金利上昇リスク、またトランプ大統領の想定外の発言などを考えると、総じてマーケットはボラティリティの高い状態が続くとみられます。