モトリーフール米国本社– 2025年1月26日 投稿記事より
2024年株価が大きく上昇したパランティア
パランティア・テクノロジーズ[PLTR]は2024年に投資家が最も注目した銘柄の一つです。株価上昇率は驚異的とも言える340%に達しました。年初に1万5,000ドルを投資していれば、年末には6万6,000ドルを超える投資価値が得られたことになります。
パランティア株の素晴らしいパフォーマンスの大きな理由は、その事業からもたらされる売上げの急拡大です。人工知能(AI)を活用する同社のデータ分析プラットフォームは、政府機関や顧客民間企業がプロセスを自動化し、意思決定を高めるための新たな扉を開きました。
アレックス・カープ最高経営責任者(CEO)は、今後さらに成長が加速すると見ており、投資家たちは意欲的に同社株を購入してきました。パランティアは2月3日に最新の四半期決算を発表する予定です。投資家はその前に投資を検討したほうがよいのでしょうか。
パランティアの売上げはさらに伸び率を高めるのか
パランティアにとって、AIプラットフォームが大きな起爆剤であることが証明されています。パランティアは、同社が「ブート・キャンプ(新兵訓練)」と呼ぶプロセスを通じて、潜在的な顧客に対し、そのプラットフォームが顧客の事業にもたらす価値を提示します。AIに関連した旺盛な需要の結果として、売上げが急増しているのです。実際に、パランティアの大幅な売上げの伸び率は、さらにここ数四半期に加速しています。
2024年11月にパランティアが前回の四半期決算を発表した際、カープCEOは需要が「衰えることがなく」、同社は「この四半期は完全に魅力的だった」と述べました。売上高は前年同期比30%増加しました。
カープCEOは事業についての期待を大々的に宣伝しており、2月3日の決算発表でパランティアに対する期待は高まるでしょう。しかし、増収率の拡大が実現したとしても、株価が急騰するには十分ではないかもしれません。
2025年初めの株価出遅れは、これから起きることの兆候だろうか?
本稿執筆時点で、株価は年初来5%以上下落しています。これは決して大きな下げ幅ではありませんが、パランティアを取り巻く熱狂的な興奮が冷め始めたことを示唆している可能性があります。
AI銘柄にとって最大の課題は、間違いなく、その株価バリュエーションにあります。パランティアの利益は拡大していますが、株価は依然として、割高な水準であり、来年度の予想1株当たり利益(EPS)に基づく株価収益率(PER)は150倍です。より長期的な視点から、グロース株の割安さを測るPEGレシオ(PER÷EPS成長率で算出)をみてみましょう。通常はレシオが1倍未満であれば割安と見なされますが、パランティアは3倍を超えており、割安というにはほど遠い水準にあります。
短期的に株価を確認する場合の注意点は、たとえパランティアの成長率が再び加速しても、株価が大きく上昇するきっかけとしては十分でないかもしれないということです。これほど高いプレミアムが付いていることから、成長の大部分は既に株価に織り込まれていると考えられるためです。パランティアの利益が予想を大幅に上回り、2025年残りの期間について輝かしいガイダンスを提示しない限り、短期的に株価がさらに下落する可能性が残ります。
投資家がパランティア株を手控える理由とは
現在のバリュエーションを見ると、パランティア株は上値を探るというよりも、下落するリスクが大きいように思われます。
近く発表されるパランティアの決算は、投資家に2つの重要なことを教えてくれそうです。1つは、パランティアの成長が本当に衰えることなく、依然として加速しているのかどうかです。2つ目は、市場が冷静さを取り戻しつつあり、投資家がパランティアのバリュエーションに対する懸念を強めているかどうかです。パランティアが好調な決算を発表しても株価が上昇しなければ、高値水準にある株価をめぐって見送り気分が高まっているのかもしれません。
バリュエーションがきわめて高いため、パランティアは2025年、保有するにはリスクが高い銘柄の1つです。興味をそそられるフォロー対象かもしれませんが、現時点で同社株より割安なグロース銘柄は他に数多くあります。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者David Jagielski は記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はパランティア・テクノロジーズの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。