今週からのレポート・スタイル

過去2回のレポートで執筆スタイルにも慣れてきた頃と思いますので、今週以降は以下のスタイルで執筆を続けていきます。

・現在のファンダメンタルズ:主に前週の材料を中心に現在の相場材料を解説します。
・米ドル/円の週足チャート:長期的には週足チャートを使って分析します。
・米ドル/円の日足チャート:短期的には日足チャートを使って分析します。
・ユーロの週足と日足チャート:同様の手法でユーロ/円もしくはユーロ/米ドルの分析をします。

長期と短期それぞれのチャートの見方は米ドル/円の項目にまとめてありますので、そちらをご参照ください。

現在のファンダメンタルズ: 米大統領就任式と日銀会合に注目

先週(1月13日週)の米ドル/円レンジ:154.973~158.194(マネックストレーダーFX のBidレート)

先週(1月13日週)の米ドル/円は1月13日が日本の祝日だったこともあり動きが鈍いスタートとなりました。しかし、米金利が底堅いことから米ドルの押し目買いが根強く、1月14日のNY市場では米10年債利回りが4.809%と2023年11月以来の水準まで上昇する流れとともに、週間高値となる158.194レベルの米ドル高値をつけました。

その後、翌15日に一気に流れが変わりました。植田日銀総裁が「1月24日の日銀会合で利上げを行うか判断する」と発言したことから、急速に1月利上げの可能性が再燃し円買いの動きが加速しました。その後、9人の政策委員の過半数が追加利上げを支持する見通しとの報道も出て、1月17日の東京市場では週間安値となる154.973レベルの米ドル安値をつけました。しかし米国では1月20日(月)が祝日で3連休となること、また同日にトランプ大統領就任式を控えていることもあって、ポジション調整の買い戻しから156円台前半を回復しての週末クローズとなりました。

日銀関連報道は同じパターンをたどる

先週の日銀関連の報道を見て改めて感じたことは、今回もこれまでと同じパターンをたどったことです。同じパターンというのは、初めに植田日銀総裁が次の金融政策の方向を示すものの、その後別の日銀関係者から総裁発言をトーンダウンする発言が出て、その後改めて当初植田総裁が示した方向に政策が決定されるというものです。

マイナス金利解除の時や0.25%への追加利上げの時も同様のパターンだったため、今回も11月30日のインタビュー記事(インタビュー実施は11月28日)において「追加利上げのタイミングが近づいている」という発言があった時点で、次は誰かがトーンダウンして12月会合での利上げは見送り、1月か3月に追加利上げに動くのではないかと思っていましたが、タイミング的には思ったよりも早いという印象です。

1月利上げ後はしばらく現状維持を続けるでしょうが、年内にもう1回の追加利上げはありそうです。長期的に日米金利差は縮小する方向で、米ドル/円も円高方向に動きやすくなっていくと考えられます。

また週初20日のトランプ氏の米大統領就任式(日本時間21日午前2時)の演説内容によっては、祝日で参加者が少ない月曜NY市場で大きく動く可能性もあるため、その点には注意が必要です。

米ドル/円、週足では上昇トレンドを維持も上値は重くサポートラインをトライか

長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。

【図表1】米ドル/円(週足)
出所:マネックストレーダーFX
<週足チャートの見方>
長期トレンドは20週移動平均線と週足終値との位置関係で判断します。
・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。

先週(1月13日週)からトレンド(2024年10月21日・28日週に上昇トレンドに転換)に変化は見られませんが、上値が重くなっていたところに長めの陰線が出たことで、2024年夏以降の上昇ウェッジの下側のサポートラインを試しやすい地合いになってきたと考えられます。

今週(1月20日週)はサポートラインが154円台前半へと上昇してきますので、トランプ氏の米大統領就任演説や日銀会合後の植田総裁会見の内容次第では、ウェッジを下に抜ける動きが今週にも見られる可能性があります。(図表1)。

米ドル/円チャート(日足)は1月15日の引けで売りシグナルに転換

短期的な判断は日足で行います。

【図表2】米ドル/円(日足)
出所:マネックストレーダーFX
<日足チャートの見方>
短期売買シグナルは5日終値移動平均線(青)と5日始値移動平均線(赤)のゴールデン・クロス(GC)、デッド・クロス(DC)で判断します。
・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
短期上昇トレンドの間は終値移動平均線が始値移動平均線の上で推移し、短期下降トレンドの間は終値移動平均線が始値移動平均線の下で推移します。通常の2本の移動平均線で言えば、終値が短期線の役割、始値が長期線の役割を果たしていると考えるとわかりやすいでしょう。
※マネックストレーダーFXでは、移動平均線の設定画面で始値を選択することができます。

日足チャートの判断では短期的には1月15日にデッド・クロスが発生し売りシグナルに転換しました。長期トレンドでは上昇トレンドを維持していますので、次のゴールデン・クロスを待って米ドル買いというのが基本ではありますが、週足チャートにおいて上昇ウェッジを下抜ける可能性が高まってきましたので、現在は円高転換への最初のステージにいるように思えます。(図表2)

個人的にはここはむやみに米ドル買いには動かず、イベント(米大統領就任式と日銀会合)後の値動きを見た上で判断するつもりです。

ユーロ/米ドル、長期トレンドはユーロ売り継続、短期トレンドはユーロ買い

まず先週(1月13日週)のユーロ/米ドルのチャートの答え合わせから行きましょう。

ユーロ/米ドル(週足)の長期トレンドはユーロ売りでしたが、長期的に下降トレンドへと転換したのは2024年10月7日・14日週の2週連続で20週移動平均線を下回った時点からとなります。

また日足の短期トレンドもユーロ売りでしたが、5日終値移動平均線が5日始値移動平均線をデッド・クロスしたのは2025年1月10日の日足でした(図表4)。どちらも難しい判断ではありませんので、容易に判断できたのではないでしょうか。

今週(1月20日週)もユーロ/米ドルのチャートを見ておきます。

【図表3】ユーロ/米ドル(週足) 長期トレンド=ユーロ売り
出所:マネックストレーダーFX
【図表4】ユーロ/米ドル(日足) 短期トレンド=ユーロ買い
出所:マネックストレーダーFX

週足チャート(図表3)は先週から変化はありませんが、日足チャート(図表4)は1月16日にゴールデン・クロスとなりユーロ買いとなりました。ただ、長期的にはユーロ売りトレンド継続中なので、次のデッド・クロスを待って再度ユーロ売りを狙う方が良いでしょう。

それでは今週も良いトレードを!