現在のファンダメンタルズ:投機筋の円買い巻き戻しとウクライナ情勢を注視
先週(2月24日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円: 148.568円~150.983円 150.577円
・ユーロ/米ドル:1.03599ドル~1.05283ドル 1.03756ドル
・ユーロ/円: 154.796円~157.303円 156.233円
先週(2月24日週)の米ドル/円:シカゴ通貨先物の円買いポジションが過去最大に
先週(2月24日週)は2月28日東京市場までは149円台前半を中心として上値の重たい展開が続きました。この間、トランプ関税のうちメキシコ、カナダに対しての発動は3月4日からという発言はあったものの、関税によるインフレ懸念よりも目先の弱めの経済指標に反応し米金利(10年債利回り)が低下、米ドル/円も一時148円台半ばまで水準を下げましたが、148円台では米ドル買いも根強く底固めの動きとなりました。
2月28日にそれまでのレンジを上抜けると短期筋のストップを巻き込み150円台半ばへと上昇、NY市場で発表されたPCEデフレータが予想通りだったことから、目先のインフレ懸念が遠のき、米金利は4.195%と12月10日以来の水準まで低下、株式市場は大幅高となったものの為替市場での米ドル売りの動きは見られませんでした。
米ドル/円に関してはシカゴ通貨先物のポジションを気にする向きがここ1~2週間増えていましたが、週末に発表されたCFTCのレポートでは投機筋の円買いポジションが2月25日時点で約9万6000枚と過去最大の枚数を記録していたことがわかり、週後半に向けて週末と重なる月末ということから、ポジションを減らす動きが出ていたのではないかと考えられています。答え合わせは次の週末となります。
先週(2月24日週)のユーロ/米ドル:ウクライナ情勢が一気に不透明に
ドイツ総選挙後の連立協議は第1党のCDU/CSU(キリスト教民主・社会同盟)と第3党のSPD(社会民主党)で話を進めることが決まり、欧州主要国の政治問題はいったん落ち着きどころを見つけました。ここからはウクライナ問題もあり、いかに速くCDU/CSU主導での組閣に持って行けるかということになるでしょう。
先週(2月24日週)のユーロ/米ドルは2月27日までは1.05ドルの大台近辺でのもみあいが続いていましたが、これまで同様に1.05ドル台前半での上値の重さに加え、トランプ関税が対EUでも25%という話をきっかけにレンジを下抜けます。28日にはロシア・ウクライナの停戦に向け米ウ首脳会談がホワイトハウスで行われましたが、口論で終わり署名、会見とも中止に。これにより、ユーロは対米ドルだけでなく対円でも売られ、1.03ドル台後半へと水準を下げての週末クローズとなりました。
米ドル/円チャート(週足)、下降トレンドを継続
長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。

・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。
週足チャートでは、20週移動平均線を下回る展開が続いているため、長期的な米ドル安・円高トレンドの状態に変化はありません。年初来高値からのレジスタンスライン(青)はしっかりと効いていますが、同様にそれに平行なラインも下値を支えるポイントとなりました(図表1)。
先週(2月25日週)はこの下降チャンネルの中での推移となりましたが、2024年12月安値148.642円をトライしたものの明確に抜けられなかったことで、現状は下降トレンドの中での調整局面という見方となります。
米ドル/円チャート(日足)、2月27日にゴールデン・クロス発生
短期的な判断は日足で行います。

・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
日足チャートの判断では、週足チャートで引いた平行下降チャンネルの下側のラインで下げ止まったことが確認できます。また、前回示したフィボナッチ・エクスパンション(下降N波動の起点を年初来高値158.872円、最初の下げを2月7日の150.927円、その後の戻しを2月12日の154.797円として計算)の76.4%エクスパンション148.727円の誤差の範囲内で下げ止まったこともテクニカルには重要なポイントでした(図表2)。
2月19日以降続いていたデッド・クロス状態は底打ちの動きとともに2月27日にゴールデン・クロスへと転じ、短期的にはどこまで上値を伸ばせるのかを見守ることとなります。個人的には下げ始める前(2月17~19日)の安値圏と重なる151円台前半が戻りの限界点となりやすい水準と考えます。同水準で上げ止まった後にデッド・クロスのシグナルが点灯すれば絶好の売り場になると見ています。
ユーロ/米ドル、長期トレンドはユーロ売が続く
ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。


週足チャート(図表3)は移動平均線よりも下での推移を続け、先週は上ヒゲで移動平均線を試したものの反落して引けました。またレジスタンスラインも同様に上ヒゲで抜けたものの反落したことからダブルでユーロの上値の重さを再確認した週になったと言えます。
日足チャート(図表4)では前回のデッド・クロスはわずか一日でゴールデン・クロスとなりましたが、2月27日に改めてデッド・クロスへと転じました。米ドル/円でゴールデン・クロスが出た日と同じであることから、今回は米ドル高方向で歩調を揃えていますし、その後の米ウ首脳会談が物別れで終わったことも短期的にユーロ売りに動きやすい材料となっています。
ユーロ/円は、三角もちあいのサポートラインがレジスタンス
次にユーロ/円のチャートです。

ユーロ/円は移動平均線を下回った状態かつトライアングル(三角もちあい)を改めて下抜けてきたことで、現状はユーロ/円の売り継続という見方になります。抜けたサポートラインはレジスタンスという考え方はテクニカルの基本です(図表5)。

日足チャートでは抜けたサポートラインがレジスタンスとして効いていることがより明確です。ただ2月28日にゴールデン・クロスが発生していますので、短期的には買い戻しが出やすい流れとなっています(図表6)。
戻りは下抜けたサポートライン(今週は157.50円水準)が限界点となりやすいため、いったん短期の買い戻しが終わり次のデッド・クロスを待つ戦略が安全策であると言えそうです。
それでは今週も良いトレードを!