政策金利は0.25%の利下げ

現地12月18日に米国のFOMC(連邦公開市場委員会)が開催され、政策金利は0.25%引き下げられ4.25-4.50%となりました。声明文に変更はほぼありませんでしたが、今後の金利調整に「程度とタイミングを検討」との慎重なトーンの文言が追加されました。なお、投票に際してクリーブランド連銀のハマック総裁が金利の据え置きを主張し決定に反対票を投じています。

今回は3ヶ月に1回の経済予想が示されています。GDPは前回9月時点の予想から上方修正、失業率は下方修正と想定以上に堅調な経済状況が反映されました。

【図表1】GDP/失業率予想
出所:FRBよりマネックス証券作成

同時に公表された物価見通しは、上方修正されており、特に2025年の上振れが目立ちます。

【図表2】物価/コア物価の見通し
出所:FRBよりマネックス証券作成

利下げは2027年まで緩やかに継続、長期見通しは2.9%から3.0%に上方修正

そしてFRB当局者による政策金利の見通しです。以下中央値になりますが、2025年は従来の4回(1回0.25%)の利下げから2回に修正され、2026年の利下げペースは2回で代わらないものの、利下げは2027年まで緩やかに継続する見通しが示されました。また、長期見通しが2.9%から3.0%に上方修正されています。

【図表3】政策金利予想
出所:FRBよりマネックス証券作成

FOMCメンバーの政策金利見通しをみると、2027年に向けて見方は割れるものの、少なくとも断続的な利下げ局面が続くとの予想が示されています。

【図表4】FOMCメンバーの政策金利見通し
(黄:ドットチャート、緑:予測中央値、白:金利先物市場の予想)
出所:Bloomberg

新政権の政策次第で予想も変動、見通しの不透明感高まる

経済予想の変更や長期見通しを含めた金利予想の修正は、おおむね直前の市場予想に沿ったものでありサプライズは無く、今後も緩やかながら利下げが継続すると見込まれます。ただし、物価の見通しにはインフレ再燃への警戒が示され、また会見でも言及されたように一部委員が次期政権の政策を織り込み始めたものの、今後新政権から示される経済政策次第で予想も大きく変動しうる点で見通しの不透明感が高まっております。

不透明感を嫌う市場は株安、金利上昇で反応しました。FOMCの今後の予想には新政権発足とともに明らかになる政策の方向性がカギとなりますが、それまで短期的には市場のボラティリティも収束しづらい時間帯となります。足元の金利市場は政策金利見通しの上下に3~4ヶ月程度で波を打つように振られてきました。

【図表5】政策金利見通しと10年金利の推移
出所:Bloomberg

ある程度の上下動は引き続き想定されますが、中期的には経済は堅調ながら鈍化基調にあること、また中立的な金利水準を勘案すると現在の政策金利は引き締め的であり、ペースは鈍化するものの長短金利は低下していくとの予想のもとで新政権の動きに注目しています。

【図表6】政策金利予想に先行する経済サプライズ指数は頭打ち
経済サプライズ指数は各経済指標の発表値と事前の市場予想との乖離度合いを指数化したもの。
出所:Bloomberg