東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は、3日ぶりに小幅反落となりました。米大統領選はトランプ氏の当選が確実とされ、米国市場では主要3指数が揃って最高値を更新する中で、前日急騰した反動から利益確定の売りが優勢となりました。

前場は米国市場の流れを引き継ぎ、264円高の39,745円で寄り付いた日経平均は、その後は軟調に推移し、10時過ぎには460円安の39,020円まで売られました。その後、下値で買いが入り、158円安の39,321円で前引けとなりました。

後場に入ると、香港ハンセン指数等アジア株の上昇がみられる中で下げ幅を縮小するも、強さは見られず、またFOMC(米連邦公開市場委員会)後のパウエル議長発言を前に様子見姿勢が広がり、最終的には99円安の39,381円で取引を終えました。

新興市場では、東証グロース250指数が続伸、0.2%高となりました。

2.個別銘柄等

京王電鉄(9008)が前日比、593円(17.7%)高の3,949円をつけ、大幅反発となりました。通期業績と年間配当の上方修正、また150億円の自社株買いの発表が好感されました。不動産販売業における販売戸数の増加やホテル業の客室単価上昇が寄与し、営業利益は通期で90億円の上方修正、年間等配当は従来よりも30円の増額見込みとされています。

大成建設(1801)が前日比、一時1,000円(15.4%)高の7,485円まで上昇し、ストップ高で年初来高値を更新する場面がみられました。取引時間中に発行済み株式総数(自己株式を除く)の16.41%にあたる3,000万株、金額にして1,500億円と大規模な自社株買いを発表したことが買い材料となりました。

東レ(3402)が前日比、一時126.3円(14.9%)高の971.8円をつけ、年初来高値を更新する場面がみられました。政策保有株を50%削減し、その売却代金による自社株買いの発表が買いを呼びました。自社株買いは、発行済み株式総数(自己株式除く)の9.67%にあたる上限1億5,500万株、金額にして1,000億円とされています。

ダイキン工業(6367)は前日比、一時1,845円(9.8%)高の20,635円をつけ、大幅に3日続伸となりました。6日の中間決算にて、通期業績の上方修正を発表したことが好感されました。市場コンセンサスは通期での会社予想下振れが予想される中で、通期の営業利益は、30億円の増額を見込んだ内容が買い材料となりました。

ニトリホールディングス(9843)は前日比1,235円(6.6%)安の17,450円をつけ続落となりました。6日の決算にて、累積営業利益は前年同期比5.1%増の579億円と市場予想に沿った堅調な結果を発表したものの、足元の為替動向が円安に推移していること等が同社への逆風とされ、売りが優勢となりました。

コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス(2579)は前日比377円(19.4%)の2,320円をつけ3日続伸となりました。6日に発表した第3四半期決算にて通期業績の上方修正と300億円の自社株買いを発表したことが好感されています。通期の営業利益は、従来予想を17億円増額見込みで、前期比4.0倍と大幅増益で着地の見通しとされています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日本市場はFOMCを前に様子見姿勢がうかがえる中で、自社株買いを発表した銘柄に買いが集まりました。下半期も企業の自社株買いは堅調で、企業も資本政策に前向きな様子が感じられます。

明日に向けて、FOMC後のパウエル議長の会見内容がトピックとなります。トランプ氏の勝利を受けて、FEDの独立性にも影を落とす中でどういった発言がされるか、足元の米国経済への評価に注目が集まります。また決算銘柄では、大引け後の花王(4452)、資生堂(4911)に注目です。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)