与党の過半数割れを市場は相当程度織り込み済み、下げは限定的だろう

第50回衆院選は27日、投開票された。与党(自民、公明両党)は、公示前の計288議席から大きく減らし、過半数を割り込んだ。自公の過半数割れは旧民主党政権が誕生した2009年以来、15年ぶり。

市場は売りで反応すると思われるが、与党の過半数割れを市場は相当程度織り込み済みであったため、下げは限定的だろう。

たしかに衆院選は大きな材料であったことには違いない。今後の日本の進路に影響を与え得る結果だと読むこともできる。しかし、相場の材料としては、いったん「終わった話」である。今後の連立の枠組みや自民党内の石破体制の存続などの見極めが必要だろう。

日米ともに材料目白押し、週末にかけては様子見姿勢か

今週は日銀会合や米ビッグテック決算など材料が目白押しで、市場の関心はそちらのほうに移っていくだろう。そして、それらの重要な材料にしても反応は一時的となろう。来週に米国大統領選、その直後にFOMC(米連邦公開市場委員会)という超ビッグイベントを控えているからだ。日本のカレンダーでは今週金曜の夜に米国の雇用統計を控えていること、加えて来週11月4日が祝日であることもあって、この週末にかけて一段と様子見姿勢が強まっていくだろう。

日銀は30~31日に金融政策決定会合を開く。また「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表する。今会合での金融政策の変更はないとみられるが、展望レポートや、会合後の植田総裁の記者会見などで、利上げに対する日銀の姿勢を確認したい。

米国では月末月初とあって重要指標の発表が相次ぐ。29日に10月の消費者信頼感指数、30日に2024年7~9月期のGDP速報値、31日に9月の個人所得・個人消費支出(PCE)とPCE物価指数、11月1日に10月の雇用統計とISM製造業景況感指数が発表される。

企業の決算発表は佳境

企業の決算発表も佳境を迎える。29日にはコマツ(6301)、キーエンス(6861)、NEC(6701)、30日には日立(6501)、アドバンテスト(6857)、京セラ(6971)、エムスリー(2413)、31日には第一三共(4568)、武田(4502)、デンソー(6902)、富士通(6702)、JR東日本(9020)、パナソニック(6752)、レーザーテック(6920)、商船三井(9104)、ANA(9202)、1日には三菱商事(8058)、三井物産(8031)、村田製(6981)、TDK(6762)などが決算を発表する。

米国の主要企業では28日にフォード[F]、29日にマクドナルド[MCD]、ファイザー[PFE]、シスコ[SYY]、AMD[AMD]、アルファベット[GOOGL]、ビザ[V]、30日にキャタピラー[CAT]、イーライリリー[LLY]、メタ[META]、マイクロソフト[MSFT]、31日にアップル[AAPL]、アマゾン[AMZN]、インテル[INTC]、11月1日にシェブロン[CVX]、エクソン[XOM]などが決算を発表する。これらのなかでは、言うまでもなく、GAFAMの決算発表が注目される。

予想レンジは3万6800~3万8000円とする。