先週(10月7日週)の振り返り=米金利上昇も緩やかで150円の大台乗せに至らず
先週の米ドル/円は、前週末に予想より強い米雇用統計の結果を受けて大きく上昇した流れを引き継ぎ、早々に149円台に乗せたものの、その後は上値も重く150円の大台乗せには至りませんでした(図表1参照)。
この米ドル/円の動きは、基本的には日米金利差に沿ったものでした。そうした意味では、先週の米ドル/円の上値が重かったのは、日米金利差米ドル優位拡大が足踏みした影響が大きかったのでしょう(図表2参照)。
先週発表のCPI、PPIは予想より強い結果に
先週は、9月のCPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)などの米インフレ指標が発表され、総じて予想より強い結果となりました(下記参照)。
・9月CPI=予想;2.3%、結果;2.4%
同コア=予想;3.2%、結果;3.3%
・9月PPI=予想;1.7%、結果;1.8%
同コア=予想;2.7%、結果;2.8%
前週末(10月4日)に発表された雇用統計の結果と予想より強いインフレ指標の結果を受けて、次回11月FOMC(米連邦公開市場委員会)で0.5%との大幅利下げ予想はほぼ消え、利下げ見送り予想も浮上し、米金利上昇傾向は基本的に緩やかに続きました。これを受けて、日米金利差米ドル優位拡大も緩やかなものとなった結果、米ドル/円も一気に150円の大台乗せまでには至らなかったのでしょう。
120日MAが米ドル高・円安の行方にとって大きな分岐点
米ドル高・円安傾向が続く中で、一時6.6万枚まで拡大したCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円買い越し(売り越し)は10月8日現在で3.6万枚となり、2週連続で縮小しました(図表3参照)。
この投機筋のポジションは、これまで過去半年平均である120日MA(移動平均線)が売買転換点の目安になってきました。その120日MAは10月11日現在で151.9円まで下落してきました(図表4参照)。
この先、米ドル/円が120日MAを大きく上回る見通しとなった場合には、投機筋の円買い越しは一段と縮小し、売り越しに転換する可能性もあります。すでに見てきた米金利および日米金利差とともに、テクニカルな観点からは120日MAが、さらなる米ドル高・円安の行方にとって大きな分岐点になりそうです。
今週(10月14日週)の注目点=雇用関連以外の指標への反応限られる
今週は10月17日発表予定の9月小売売上高に注目
今週は米経済指標の発表が多く予定されています。中でも、10月17日発表予定の9月小売売上高は大きな注目を集めそうです。これらの結果を受けて、米金利がさらにどこまで上昇するかが、米ドル高・円安の行方に大きく影響するでしょう。
ただ最近の金融市場は、米経済指標の中でも雇用関連の統計に優先的に反応する傾向が見られます。10月10日の米CPI発表後の展開はその典型だったのではないでしょうか。CPIは予想より強く、瞬間的に米ドル買いの反応となったものの、すぐに米ドル売り優勢に変わったのは、同時に発表された予想より弱い失業保険申請件数に反応した結果と見られました。
9月FOMCの大幅利下げなど、FRBの金融政策判断は雇用関連の指標を重視しているように見受けられます。そうしたことが、金融市場においても雇用関連以外の指標への反応を限られたものにしている可能性はあるでしょう。基本的には、11月初めに予定されている次回の雇用統計発表まで、金融市場の反応は限られる可能性も考えられます。
この間の米ドル/円と日米金利差の関係を前提にすると、米10年債利回り4.1%で米ドル/円は150円、4.2%で151円、4.3%で152円が大まかな目安になりそうですが、これまでを振り返ると、次回の雇用統計発表まで米金利が大きく上昇し、米ドル/円もそれを手掛かりに一段高に向かうのも簡単ではないでしょう。
今週の米ドル/円の予想レンジは147~152円
米ドル/円は、10月4日の米雇用統計を受けて9月までの高値の147.2円を大きく上回る動きとなりました。先週はこの147.2円がサポート水準となりました。これを割り込まない限り、米ドル安・円高の反応は限られるでしょう。一方の上値は、120日MA近辺の152円が重要な分岐点と考えられます。以上を踏まえると、今週の米ドル/円の予想レンジは147~152円。そのレンジ内で方向感の乏しい展開が続く可能性もあると考えます。