モトリーフール米国本社 – 2024年10月8日 投稿記事より

グロース投資家として有名なキャシー・ウッド氏、株価低迷中のお気に入り銘柄に追加投資

キャシー・ウッド氏は動き続けています。同氏がCEOを務めるアーク・インベストメント・マネジメント(以下、ARK社)は、自社が運用する上場投資信託(ETF)シリーズの取引状況を日々開示しています。そのため、同氏が売却した銘柄が分かりますが、ここでは同氏が購入した銘柄に着目してみましょう。

ウッド氏は10月7日、3Dシステムズ[DDD]、ブレード・エア・モビリティ[BLDE]、リカージョン・ファーマシューティカルズ[RXRX]という、既に同社が保有している3銘柄の株式を追加購入しました。いずれも株価は10ドルを割り込んでいます。

3Dシステムズ[DDD]

十数年前、3Dシステムズは3Dプリンティング革命をリードする花形企業でしたが、今はかつてのような会社ではありません。現在は業績が低迷し、売上高は3年連続で落ち込んでいます。足元の売上高は、事業がピークに達した2018年と比べて3分の1ほど減少しています。

株価も大幅に落ち込んでおり、年初来で50%超下落しています。かつての積層造形のパイオニアも、2024年は悪いニュースが続いています。始まりは、2月に発表された2023年第4四半期決算が期待外れの内容だったことでした。売上高と利益の両方がアナリスト予想を下回り、2024年通期の売上高ガイダンスも失望を招きました。

事態はさらに悪化し、それから6ヶ月後にも同じことが繰り返され、発表された第1および第2四半期決算は予想を下回りました。春に発表された通期売上高ガイダンスの4億7,500万~5億500万ドルで、投資家は失望しました。4億5,000万~4億6,000万ドルに下方修正されたことで、投資家はさらに落胆したでしょう。

3Dプリンター銘柄に対する投資家の意欲は冷え込んでいます。3Dシステムズは過去10年間にわたり、営業利益を生み出せていません。2021年に1度だけ最終損益が黒字となったことがありますが、これは資産売却によるものでした。ここで良いニュースは、アナリストが2025年に売上高が増加に転じると予想していることです。赤字幅も縮小する見通しです。長期的に強気のカタリストが現れるには時間がかかるかもしれませんが、押し目が長引いたとしてもウッド氏は押し目買いを恐れていないようです。

ブレード・エア・モビリティ[BLDE]

短距離空輸サービスを手掛けるブレード・エア・モビリティは投資家の間であまり知られていませんが、ARK社の取引に詳しい人ならお馴染みの銘柄のはずです。ウッド氏はブレード・エア・モビリティの株式を、6営業日連続で投資しています。

ブレード・エア・モビリティはヘリコプターを使い、移植用臓器を病院から病院へ迅速に輸送するのをサポートしています。現在、これが同社にとって最大の事業であり、収益構成の60%を占めています。一般的に知られているのは消費者向けのブレード・エア事業で、こちらは富裕層の旅行者を都市部の空港から目的地までヘリコプターで輸送するサービスを手掛けています。時間の節約と渋滞の回避を売りとするこのサービスは、売上高の40%を占めています。

ブレード・エア・モビリティのビジネスは、2021年と2022年に100%を超える成長が続きましたが、その後は急速に伸びが鈍化しています。2024年第2四半期の売上高は前年同期比11%増にとどまり、アナリストは先週終了した第3四半期について同4%増と、さらなる減速を予想しています。一方で、希望もあります。赤字幅は縮小しています。また、電動飛行機による次世代の短距離空輸サービスを提供する他の上場企業と比べると、時価総額ははるかに小さく、株価売上高倍率(PSR)も大幅に低い水準です。

リカージョン・ファーマシューティカルズ[RXRX]

ウッド氏はこの夏、リカージョン・ファーマシューティカルズの株式を積極的に投資していましたが、10月7日に投資する前は1ヶ月以上購入していませんでした。同社は臨床段階のバイオテクノロジー企業です。社名に「ファーマシューティカルズ」と付いているので「バイオ」の部分は想像がつくでしょうが、重要なのは「テクノロジー」の部分で、これについてはもう少し説明が必要です。

リカージョン・ファーマシューティカルズは、人工知能(AI)や機械学習を活用して創薬プロセスを変革することを目指しています。同社のオペレーティング・システム(OS)はアルゴリズムや検索可能な関係に依拠することで、潜在的な治療法の迅速化に寄与しています。

ウッド氏は明らかに、リカージョン・ファーマシューティカルズのOSプラットフォームを信じているようです。足元の時価総額は18億ドル、売上高はわずか4,960万ドルにすぎませんが、同氏は現在に賭けているのではありません。これは未来に賭けた投資であり、この夏にリカージョン・ファーマシューティカルズが別のAI創薬企業を買収したことで、同社はより早く未来に到達することができるかもしれません。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Rick Munarrizは、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社は、3Dシステムズの株式を推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。