・9月のFOMCで50bpの利下げが発表された。潜在成長率並みのGDP成長、失業率の下げ止まり、目標の2%に緩やかに向かう経済軌道が予想される。足元も堅調な景気のもと、労働市場の悪化を防ぐため先手を打つ形で利下げに舵を切った。政策当局者は断続的な利下げを予想するが、市場予想は更なる利下げを想定。米GDPの市場予想は2%成長でリスクは感じられない。
・ソフトランディングシナリオ、どういったところに注目するべきか。今週末(10月4日)に発表される雇用統計で労働市場を確認。労働市場に何かあると所得に影響する。先週発表された個人消費支出デフレーターを見ると、物価は鈍化基調にある。
・9月の日銀会合では、政策金利を据え置くも個人消費の判断を上方修正するなど国内景気に自信を示す。一方、植田総裁は米国はじめ海外経済を不透明要因として指摘し、一時の円安も修正されたことで「時間的に余裕を得た」と発言。慎重なスタンスを受け、市場が円安を試すリスクは残存している。米国経済の想定以上の悪化は円高リスクになる。
・株と債券の分散効果がここに来て現れている。米国株(S&P500)と米国債(総合インデックス)の相関係数を見ると下がってきており、分散投資の効果が期待できる。シナリオが分かれやすい局面で債券を投資対象に追加することで安定的なパフォーマンスを期待できる。長期の相関推移を見ると、2000年代を通して相関係数はマイナスだったものの、コロナ以降プラスに転じ、一時期は60/40ポートフォリオの死ともささやかれたが復活。相関係数がプラスになっていた90年代とコロナ禍以降の共通点はコア物価が高いとき。FRBのソフトランディングシナリオによるかじ取りがうまくいって物価が沈静化していくのであれば、株と債券の分散効果も元に戻ると期待できるのではないか。