モトリーフール米国本社、2024年9月23日 投稿記事より

ウォルト・ディズニー[DIS]の株価は春から夏にかけて下落したが、秋には危機を脱する可能性がある

季節が移り変わるように、株価のトレンドも変化します。メディア・エンターテインメント大手のウォルト・ディズニー[DIS]の株価は5ヶ月連続で下落していましたが、9月に入り月末まで残すところ1週間となった今、上昇に転じています。

おとぎ話のようなハッピーな結末に向かい始めたのは、株価だけではありません。ウォルト・ディズニーは、基本的に正しい方向に進み始めています。同社にとってやるべきことは、まだたくさんあります。同社が実行しようとしている強気なカタリストの多くは、効果が現れるまでに数ヶ月どころか、数年を要するとみられます。しかし、秋が近づくにつれ、ウォルト・ディズニーの投資家が待ち望んでいるイベントがいくつかあります。

ディズニー映画が再び動き出した

ウォルト・ディズニーほど、長年にわたって多くのヒット作品を次々と世に送り出してきたスタジオは他にありません。そして同社にとっては珍しい、最近の空白期間もいよいよ終わろうとしています。同社は2019年公開の『アベンジャーズ/エンドゲーム』以来、米国内の年間興行収入第1位を獲得していません。2022年には『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が世界興行収入でトップに輝きましたが、米国内では『トップガン・マーヴェリック』に及びませんでした。

ウォルト・ディズニーは5年ぶりに、米国年間興行収入でトップの座に返り咲く可能性があります。今のところ、2024年の米国興行収入トップ2は『インサイド・ヘッド2』と『デッドプール&ウルヴァリン』です。さらに、同社はこの秋に2作品の公開を控えています。『モアナと伝説の海2』は、シネコン来場者数の急増が見込まれる感謝祭の時期に公開されます。『ライオン・キング:ムファサ』も晩秋の公開を予定しています。

ウォルト・ディズニーは2023年に失敗作が多くありましたが、2024年夏のヒット作が株主の不安を和らげています。秋に公開される新作も大ヒットが予想されています。

Disney+がようやくプラス(黒字)に

ストリーミングサービスのDisney+は2019年の秋にサービスを開始し、初期に成功を収めたことを受けて、ウォルト・ディズニーの株価は急騰し、2021年には過去最高値を記録しました。その後は、Disney+の収益性をめぐる懸念が重石となり、株価は下落しています。

2022年秋には、同社を軌道に戻すためにボブ・アイガー氏がCEOに復帰しました。アイガーCEOは2024年度(9月期)中にストリーミング事業の黒字化を目標として掲げましたが、その期限は1週間後に迫っています。

この目標が最初に明らかにされた時はまるで現実味がなく、まるでファンタジーのように聞こえました。当時、Disney+を含むダイレクト・トゥ・コンシューマー部門は、巨額の営業赤字を計上していました。しかし、思ったよりも早くウォルト・ディズニーのストリーミング事業は2024年に入って営業利益を生み出し始めました。経営陣は、11月上旬に発表予定の第4四半期(7~9月期)決算で、Disney+について再び好調な業績が発表できると見込んでいます。さらに、Disney+は10月中旬にプレミアムプランで値上げを予定しており、見通しはこれまで以上に明るくなるとみられます。

出遅れ銘柄がリーダーになる可能性

まるでテーマパークにあるティ―カップのように、ウォルト・ディズニーの業績もめまぐるしく変化しています。つい最近まで、映画の興行収入は低迷し、ストリーミング事業も莫大な赤字を計上していましたが、映画スタジオとダイレクト・トゥ・コンシューマー部門の状況は好転しています。一方で、これまで頑張ってきたテーマパーク部門やメディア・ネットワーク部門が揺らぎ始めています。

最近、米国内のテーマパークの業績は落ち込んでおり、経営陣はこの夏すぐには回復しないだろうとの警告を発していました。メディア・ネットワーク部門に関しては、メディア株の代表格であるウォルト・ディズニーは、消費者のテレビ離れや広告の回復の弱さというマクロの逆風に苦しんでいます。

この秋、ネットワーク部門の広告は、11月の選挙に向けて各候補者がそれぞれのアピールや投票を呼びかけるための広告に大金をつぎ込むため、地域的にも全国的にも好調が予想されます。テーマパークの回復にはまだ時間がかかるかもしれませんが、同社はこの夏、今後数年間で予定されるアトラクションの大規模拡張計画を発表して注目を集めました。

ウォルト・ディズニー株をめぐるセンチメントは、ようやく強気に転じ始めています。現時点で予想株価収益率(PER)は18倍と妥当な水準であり、これは新型コロナウイルスのパンデミックが始まって以来、最低に近いバリュエーションです。秋(秋=fallには下落という意味もあります)に上昇するというのは詩的なように聞こえますが、同社が今後も正しい動きを続けることができれば、2024年の秋は株価が上昇する可能性があります。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Rick Munarrizは、ウォルト・ディズニーの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はウォルト・ディズニー、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー[WBD]の株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。