個人消費の判断を「緩やかな増加基調」に引き上げ、リスク要因に為替変動が追加
日本銀行は本日9月20日に政策委員会・金融政策決定会合を実施し、政策金利である無担保コールレート(オーバーナイト物)を0.25%程度で維持することを決定しました。
政策面での変更点はありませんでしたが、個人消費の判断を従来の「底堅く推移」から「緩やかな増加基調」に引き上げております。海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けるとしました。
また、リスク要因として従来同様に海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など挙げられていますが、とくに為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている、との点が新たに示されました。
当面は金利据え置きが見込まれる
9月の会見は慎重なスタンス
声明文公表後に記者会見が行われます。7月の会見ではタカ派的なスタンスが目立ったことでその後の市場急変動の一因とされたこともあり、今日の会見は慎重なスタンスが目立ちました。国内情勢については見通し通りに進んでおり、追加利上げについてもデータがオントラックなら利上げということに変わりない、としながらも米国はじめ海外経済の不透明感から特定のペースやスケジュール感を持たずに状況を見極めるとしています。
また、為替の落ち着きを受け物価上振れリスクは相応に減少しており、政策判断に時間的余裕があるとしました。特にこの点は追加利上げの時期が遠のくとの印象から金利低下・円安に作用しています。
正常化は米国経済次第で緩やかに進行する見込み
為替の不安定さによって日本株は振れていますが、見通し通りに進む国内経済の堅調さは良い点であり、ファンダメンタルズに沿って金利にも上昇圧力がかかるでしょう。ただしその動きは緩やかなものにとどまりそうです。本日の会見でのスタンスを見るに当面金利据え置きが見込まれますが、正常化に向けては米国経済の状況を伺いながら緩やかに進行していくとみられます。
時間的余裕を得たとしながらも、目下の変動性の激しいマーケットにおいては円安によって政策変更を再度強いられるような展開も注意が必要です。国内経済には一定の安心感がある一方、選挙を迎える米国経済の動向が重要となっています。