FOMC、日銀の金融政策決定会合後に為替が動く

今週はFOMC、日銀の金融政策決定会合という2大イベントがあるスペシャル・ウィークだ。内容次第で波乱もあり得よう。じゅうぶんに注意して臨みたい。

米連邦準備制度理事会(FRB)が17~18日に開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)では4年半ぶりの利下げはほぼ確実視されている。市場の注目は利下げ幅が0.25%になるか0.50%になるかだが、シカゴ・マーカンタイル・エクスチェンジ(CME)が算出するFedWatchでは、0.25%VS0.50%がほぼ拮抗している。 したがって、どちらになってもそれほどのサプライズはない。むしろ焦点は政策金利見通し(ドットチャート)で今後の利下げペースや到達点がどう示されるかだろう。 現状は2024年の年末までに1.25%の利下げ予想が、そして2025年末までには累計で3%の利下げ予想がメインになっているが、仮にFRBがそこまでアグレッシブな利下げ見通しを示さなかった場合、市場は肩透かしを食うことになる。 それをFOMC後の記者会見でパウエル議長がうまく説明できるか、市場との対話力が問われる場面もありそうだ。

FOMCでの利上げが0.25%にとどまる場合や、今後の利下げのパスについて市場の織り込みほどの大幅な金利低下の見通しが示されなかった場合、かなり円安ドル高に動くだろう。 一方で0.5%の利下げと上述の金利低下シナリオが示されても市場の期待の範囲内なので、それほど大きく円高は進まないだろう。今回のFOMCイベントの期待値を勘案すれば円安のほうが可能性が高い。

19~20日の日銀金融政策決定会合では現状維持で政策変更はないだろう。ただ、注目は植田総裁の記者会見だ。 前回の7月会合以降、植田総裁や複数の政策委員が、「経済・物価が見通しに沿って推移すれば金融緩和の度合いを調整する」と判で押したように同じセリフを繰り返してきた。 FOMCが1)0.5%の利下げを決定、2)ドットチャートでそれなりの先行き利下げシナリオを示唆、そこに3)植田総裁の(これまでと同じ)利上げ継続スタンスの表明という流れになった場合は、為替は円高に動き、130円台突入もあるだろう。むろん、日本株も大きく下げる展開となる。

日本版テーパータントラムに要警戒

もうひとつの懸念は「日本版テーパータントラム」、わかりやすく言えば、日銀の姿勢に対する市場の拒否反応の再来だ。日銀金融政策決定会合の2日目、20日の朝には8月全国消費者物価指数(CPI)の発表がある。 7月のCPIは生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)が前年比1.9%(6月:同2.2%)となり、2022年9月以来、1年10ヶ月ぶりに2%を割り込んだ。 コアコアが示す物価の伸びの低下基調は明確だ。そこに最近では円高と原油安が加わっている。総合でも伸びが鈍化するだろう。端的に言えばインフレは沈静化しているということだ。 そのような指標が発表された直後に、その物価の動向を無視して植田総裁がこれまでと同じスタンスの発言をすれば、さすがに市場も荒れて当然だ。今週、いちばんのリスクだと思う。警戒したい。

予想レンジは3万5000円~3万7500円とする。