ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイ[BRK.B]の第2四半期の新規投資銘柄が明らかになりました。新規投資対象となった企業の特徴には、大きな違いがあります。
幅広い価格帯の商品を取り扱うアルタ・ビューティー[ULTA]に約390億円を投資
1社目はアルタ・ビューティー[ULTA]という米国を拠点とする大手美容製品小売チェーンで、2.66億ドル(約390億円)の投資が公開されています。この会社は化粧品、スキンケア、ヘアケア製品、フレグランス、そして美容ツールなど、さまざまな美容関連商品を幅広く取り揃えています。また、店内には美容サロンも併設されており、ヘアカット、ヘアカラー、メイクアップ、フェイシャル、眉のスタイリングなど、さまざまな美容サービスを提供しています。
アルタ・ビューティーの特徴は、ドラッグストアブランドから高級ブランドまで、幅広い価格帯の商品が一堂に揃っていることです。これにより、あらゆる予算や好みに対応できる点が、多くの顧客に支持されています。加えて、オンラインストアも運営しており、オンラインでのショッピングや商品のレビュー、店舗での受け取りなどのサービスも利用できます。米国へ訪問した際、アルタ・ビューティーの店舗へ一度入ったことがあります。ただ、私が店舗での買い物を好まないということに加え、私にとって、女性向けのお店の良さは分からなかったというのが正直な感想です。
しかし、株価水準は、割安なようです。8月14日の株価をベースにした予想PERは12.8倍とS&P500の2024年の予想PER22.4倍比べても大変な割安感があります。
今回の投資内容はバークシャー・ハサウェイの第2四半期末の大量保有報告書に基づいています。しかし。アルタ・ビューティーの株価は7月の半ばの413ドル辺りから8月14日には329ドルまで下落しているため、私はバークシャー・ハサウェイがこの下げの局面で追加投資をしている可能性が高いと考えています。
ハイコ[HEI]、航空宇宙および防衛分野で品質とコスト効率を両立
2社目のハイコ[HEI]は、主に航空宇宙、防衛、電子部品産業向けの製品やサービスを提供するアメリカの多国籍企業です。1949年に設立された会社で、本社はフロリダ州ハリウッドにあります。バークシャー・ハサウェイは、この会社の株に2.47億ドル(約363億円)投資したのです。
株価のバリュエーションの方はというと、アルタ・ビューティーと対照的で、同社の予想PERは65.6倍と決して安くはありません。ただし、株価のバリュエーションが高水準となっていることにはそれなりの理由があると思います。
私は過去にこの会社の本社を訪問したことがあります。そのミーティングの内容を非常に気に入ったので、再度訪問したくなり2回訪問した会社なのです。世界的に人口が増える社会において、航空機の全体的な需要は増えていくでしょうし、そうすると修理のニーズも減ることはないはずです。
ハイコ社は、航空宇宙および防衛分野で品質とコスト効率を両立した製品提供を行っており、ミスが許されない業界内で高い評価を受けています。同社の顧客には、世界中の航空会社で全日空や日本航空、またイーロン・マスクのスペースXも含まれていることを訪問時の打ち合わせ時にうかがいました。
この会社はもともと家族経営の企業です。ハイコは、成長戦略の一貫として、積極的に買収を行っているのですが、買収した会社のマネジメントにそのまま経営を任せるという方針をとっているのです。これはバークシャー・ハサウェイが会社を買収した時と同じ方針なのです。私はこんなところが、バークシャー・ハサウェイに気に入られたところではないかとみています。
株価のバリュエーションの高さについて意見を伺うと、「それは多くの投資家から言われており、我々も困っているのですよ」と笑いながら答えてくれたのです。
過去10年間の同社の株価を見てみると、2014年8月15日から2024年8月14日までの株価のリターン(配当再投資込み)はというと809%で、同期間のS&P500のリターンである235%を3倍以上超えているのです。ついに、やってくるべき投資家が買ってきたなというのが私の正直な感想です。