2024年7月26日(金)8:30発表
日本 東京都市部消費者物価指数2024年7月
【1】結果:東京コアコアCPIは0.3%ポイント縮小し、1.5%へ
2024年7月の東京都市部消費者物価指数速報値では、生鮮食品を除く総合指数(以下、「東京コアCPI」)の前年比が市場予想通りの2.2%増の結果となりました。ヘッドラインの総合指数も同2.2%増となり、前回6月の数値から0.1%ポイント下落しています。
生鮮食品・エネルギーを除く総合指数(以下、「東京コアコアCPI」)については、前年比1.5%増の結果であり、他の2指標に対し、大きく下落しました。東京コアコアCPIの縮小にあるように、エネルギーの物価上昇が目立つ一方で、その他の財やサービスは鈍化傾向にあるといった結果が示されています。
【2】内容・注目点:7月もエネルギーが上昇に寄与、サービスは鈍化
7月の東京CPIを押し上げたのは、電気代・都市ガス代といったエネルギーに分類される品目でした。前者が寄与度にして0.52%ポイント、後者が0.19%ポイントでこの2品目で0.71%ポイントの上昇に寄与しました。政府による電気・ガス価格激変緩和対策が5月に一時終了した影響による反動でエネルギーの価格が上昇していますが、生鮮食品を含めたその他の品目の物価上昇率は鈍化傾向であることがわかります。
東京CPIの財・サービス別の前年比推移を確認すると、サービスは今回の公表値において0.5%増と図表3からも縮小していることが見て取れます。サービスを押し下げているのは公共サービスで、前年比2%下落しています。一方で、対となる一般サービスは同1.2%増で両者が相殺し合う恰好です。
【3】所感:来月発表の全国CPIにおけるサービスも鈍化の可能性
東京CPIは全国CPIの先行指標として注目されており、実際に方向感は一致して推移しています(図表2)。賃金と物価の好循環が重要視される中で、サービスインフレは重要で、東京CPIのサービスインフレの鈍化傾向は、全国CPIにおいても下落可能性を示唆するものと考えられます。実際に2指標を重ねてみると相関性の高さが確認できます(図表4)。
2024年に入り、東京都の高等教育授業料無償化の影響で2指標は乖離が生じましたが、方向感は一致しており、8月に発表される7月分の全国CPIにてサービスインフレの縮小が示唆されます(図表5)。7月19日に発表された6月分の全国CPIにおいて、サービスインフレを何が動かしているかを確認すると、上述と同様に、公共サービスが鈍化傾向である一方で、一般サービスは上昇しています。全国CPIの7月分公表値では、サービスインフレが鈍化する可能性が高いでしょう。
7月30、31日には、日銀による金融政策決定会合が開催されますが、上記の内容を踏まえると日銀が第2の力と言及する賃金と物価の好循環にも陰りが見え、来週の政策金利の利上げ可能性も低くなったと考えられます。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太