2024年7月11日(木)8:50発表
日本 機械受注統計調査 2024年5月

【1】結果:コア機械受注は2ヶ月連続で下落、基調判断は足踏みへ下方修正

2024年5月の機械受注統計は、受注総額が3兆2, 475億円と前月比7.2%と持ち直しました。前年比では、22.2%増と全体の受注総額は高水準の結果となっています。

一方で、変動の大きい船舶・電力を除いた民需(以下、コア機械受注)は、前月比において市場予想を超えたマイナス3.2%、2ヶ月連続で下落の結果となりました。受注金額ベースでは、マイナス282億円の8,578億円と勢いを落としていることが分かります。これらの結果を受けて、内閣府から発表される基調判断は、4月の「持ち直しの動きがみられる」から、「持ち直しの動きに足踏みがみられる」へと下方修正されました。

【図表1】2024年5月機械受注統計の結果
出所:内閣府よりマネックス証券作成(億円を四捨五入)
【図表2】コア機械受注総額の推移(単位:十億円)
出所:内閣府よりマネックス証券作成

【2】内容・注目点:非製造業の受注動向は緩やかな下落基調へ

業態別での受注動向を確認すると、製造業は前月比1.0%増で小幅ながら反転しました。金額ベースでは、受注額は4,237億円、前年比では6.2%増の水準です。製造業の内訳は、前月比で、17業種中7業種が増加、10業種が減少となっています。増加を牽引したのは、造船業、情報通信機械で、前者が74.6%、後者が51.7%と好調でした。一方で、業務用機械がマイナス36.4%、非鉄金属がマイナス33%と減少率が目立つ結果となっています。

非製造業は全体の総額では前月比27.9%増と好調な結果に思われますが、船舶・電力を除いたコアでは前月比マイナス7.5%と下落しています。非製造業の受注トレンドは均してみれば緩やかに下落基調がうかがえます。内訳をみると、不動産業が前月比マイナス72.4%、通信業が同マイナス27.6%、金融業・保険業が同マイナス7.8%の結果で、前月比マイナスとなる業種が散見されました。

【図表3】業態別機械受注総額の推移(単位:十億円)
出所:内閣府よりマネックス証券作成

【3】所感:設備投資計画は上方修正も、更なる上方修正に期待

2024年度4-6月期の四半期ベースの見通しでは、全体の受注総額では前四半期比マイナス0.1%減となることが見込まれています。コア機械受注でも、同マイナス1.6%で変更はなく、全体感としては今四半期の受注総額、ないしは設備投資は今回の基調判断にもあるように足踏みと評価されるでしょう。

7月初めに日銀短観が発表され、企業の設備投資見通しがアップデートされました。4月時点で公表された設備投資見通しよりも上方修正されていることはポジティブな内容でしたが、6月末基準の見通しを比較すると2022年度、2023年度よりも前年比の設備投資金額の勢いが劣っていると見て取れます。実際のところ金額ベースでは高水準であるため、成長率ベースでは弱まってみえる内容といえるでしょう。

期中はある程度保守的な見通しが発表されることもあり、最終的な着地が前年度比10%程度となれば、2022年度、2023年度の同様の水準感になり、今期の設備投資も好調であったと判断できるでしょう。

【図表4】日銀短観_全産業設備投資計画修正の推移(前年度比、%)
出所:日本銀行よりマネックス証券作成、横軸は公表次点の月
【図表5】法人企業統計_ソフトウェア除く設備投資金額(単位:十億円)
出所:財務省よりマネックス証券作成

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太