米ドル/円は為替介入なしでも頭の重い状況か 週間予想レンジ:158.00~161.00

先週(7月1日週)は上値の重さを確認

先週の米ドル/円は一旦続伸し、7月3日には161.99円までトライした。しかし、その後は失速し、週足では160.72の大引けをもって「スパイクハイ」の陰線を形成した。伸び悩みを示唆しており、為替介入の緊迫性も低下してきたと言えるだろう。

今週(7月8日週)の米ドル/円は頭の重い展開か

日米金利差が縮小している中、投機筋に主導された円売りが38年ぶりの安値(米ドルの高値)を先週再度記録したが、米4月~5月雇用統計の下方修正を受け、いわゆるFRB(米連邦準備理事会)のタカ派スタンスに関する思惑はかなり後退した。それを受けて、米長期金利の低下が米ドルの反落をもたらし、弱含みの基調が今週も踏襲されると予想する。

テクニカル視点:モメンタム低下で高値圏のレンジを再構築

米ドル/円は、2024年最初の為替介入が行われた4月29日以来の高値を6月26日に更新し、7月3日には更に高値を更新したことから、5月3日の安値を起点とした上昇波動の延長は終焉した可能性が大きい。

先週も指摘したように、推進波動としてすでに最終段階にあり、高値再更新後のモメンタムの低下がその前兆と考えられる。この場合、日本の通貨当局の為替介入よりも、米ドルサイドの事情で頭打ちとなった場合のほうが材料として有力視されるだろう。7月2日~4日の日足、2日の陽線を中心に、前日に対して「アウトサイド」、後日に対して「インサイド」のサイン(Ioi)を形成したが、7月5日の陰線をもって下放れ、頭打ちのサインとして蓋然性が高まっている。今週はじわじわ続落すると予想。

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

豪ドル/円 高値圏にて拮抗か 週間予想レンジ:107.00~109.00

先週(7月1日週)は続伸し、強気変動を継続

先週の豪ドル/円は週足では再度陽線を形成し、6月17日週以来の強気変動を踏襲する形となった。同週に4月末の高値を突破しただけに、先週の続伸も自然な値動きとみなされる。強気基調の修正については、何らかのサインの点灯なしでは性急な判断はできないだろう。

今週(7月8日週)は高値圏での拮抗か

豪ドル/円は、6月18日に大きく上昇して従来の抵抗を一気に突破し、4月末から煮詰まっていた「上昇トライアングル」型の保ち合いを上放れした。豪ドル/円は6月17日週から上昇モメンタムを維持してきたので、先週の108.62の打診も同波動の一環と見なせる。場合によっては豪ドル/円109の節目の打診もあり得るが、さらなる上値追いは容易ではないだろう。米ドル/円の頭打ちのサインがすでに灯されていると思われるため、豪ドル/米ドルの強気変動がもたらした上昇モメンタムがあっても制限される可能性がある。

テクニカル視点:上放れは本物だったが、すでに目標は達成か

先週のコラムでも述べた通り、4月29日の大陰線の存在感は大きかった。同日は典型的な「弱気リバーサル&アウトサイド」のサインとなり、また「スパイクハイ」であっただけに、同日高値の104.91円を突破した6月17日週では、一転して強いサインを点灯した。
従って、先週の高値再更新を当然の成り行きとみなし、その傾向はすぐには修正されない可能性も高い。しかし、108円台後半の打診があっただけに、4月末の高値や5月1日の安値から形成された「上昇トライアングル」と、その後の上放れがもたらした上昇波動は、すでに目標が達成された可能性も大いに考えられる。ロング勢、ショート勢の両方が支配力を失い、高値圏での拮抗が有力視される。

【図表2】豪ドル/円(日足)

出所:筆者作成