◆ビットコインをはじめ仮想通貨の急落が話題になっている。僕はストラテジーレポートで、ビットコインの急騰を「投機の極み」と述べ、ビットコイン・バブルはバブルの定義からして弾けるのが必定、暴落するだろうと断じた。そのレポートを書いたのは去年のクリスマスの日だったから、わずか1月も経たずして予想は現実のものとなった。

◆仮想通貨の取引所を運営する大手の会社はテレビコマーシャルを流しているが、芸人の出川哲朗さんを起用したCMをご覧になった方もおられるだろう。「なんでビットコイン取引は〇〇(取引所の名前)がいいんだ?兄さん。まさか?」「兄さんが知らないはずないだろう」「じゃあ、教えてよ。なんでビットコインは〇〇がいいんだよ、兄さん?やっぱ、知らないんだ!」「兄さんが知らないはずないだろう」「じゃあ、教えてよ。やっぱ知らないんだよ、兄さん知らないんだよ!」

◆僕の友人は、これこそがビットコイン・バブルの本質ではないかと指摘する。知らないのだ。ビットコインとは何かを。ブロックチェーン技術の仕組みも、フィンテックへの応用の可能性も、その将来性・発展性も。そういうことは一切知らないで、ただ値段が上がるから買っている。買うから上がる。上がるから買う。まさに価格だけがひとびとの投機を煽る。ジョージ・ソロスのいう「再帰性」の理論である。

◆最近の急落は、各国による仮想通貨に対する規制の強化が背景にある。そうしたなか、米国SEC(証券取引委員会)は仮想通貨のETF組成に対して事実上容認しないともとれる厳しい条件を提示した。ビットコイン狂騒曲はこれでひとやま過ぎたのではないか。もちろん、再度上昇し高値を更新することだってあるだろう。乱高下も続くに違いない。しかし、ここ最近見られたような異常な値上がりの仕方は、もうしばらくないだろうと思う。