2024年6月3日(月)8:50発表
日本 法人企業統計2024年1-3月
【1】結果:設備投資は市場予想を下回るも堅調に
財務省が発表した法人企業統計(速報)によると、2024年1-3月期の企業売上は、前年同期比2.3%増と12期連続でのプラス成長、営業利益は同14.7%増、経常利益は15.1%増と、高水準で、ともに5期連続のプラスの結果となりました。設備投資はBloomberg集計による市場予想は11%増であり、4.2%ポイント下回りました。2023年10-12月期の設備投資が製造業・非製造業ともに高水準の結果であったことからの反動が結果として現れたものと考えられます。
【2】内容・注目点:金額ベースでは過去最大も先行きの設備投資は低下を予想
設備投資の前年同期比が縮小している結果となりましたが、金額ベースでは過去91期中、2番目の17兆6,628億円と非常に高い水準でした。2024年1-3月期の設備投資は、その他の期よりも金額が大きい傾向がありますが、トレンドとしては緩やかながらも企業の設備投資は着実に増加していることがわかります(図表2)。
先行きの設備投資は、先行指標である機械受注統計にて今期4-6月期は低下が予想されていることもあり(※)、設備投資も弱まると考えられます。図表2からも例年4-6月期のデータは控えめである傾向があるため、過度に懸念する必要はないと考えられます。逆に前年同期比プラスの結果となれば、堅調さが示され株価や資金需要にポジティブと判断できるでしょう。
(※)参考:【日本】2024年3月のコア機械受注は前月比+2.9%の結果に
【3】所感:金属製品や建設・情報通信の設備投資は3年間、前年比プラスで推移
設備投資は、将来の利益や業務効率といった企業の成長ドライバーを示す指標です。法人企業統計では、産業ごとに設備投資額が発表されるため、そのデータから設備投資が安定的に推移している産業をみると、直近3年では製造業では金属製品、非製造業では建設、情報通信といった産業が3年連続前年比プラスで推移しています(図表3)。設備投資は、生産設備の過不足などを調整するものですので、ブレが大きいものですが、これらの産業は先行きについて安定した見通しから設備投資を計画していると考えられます。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太