モトリーフール米国本社、2024年1月30日 投稿記事より

テスラもエヌビディアも「1番」ではない

グロース投資家として知られるキャシー・ウッド氏はかつて、半導体大手エヌビディア[NVDA]の株式を大量に保有していました。しかし、同氏が率いるアーク・インベストメント・マネジメント(以下、アーク社)が運用するファンドは、保有するエヌビディア株の大半を直近1年間に売却しました。現在、アーク社が保有するエヌビディア株はわずか8,100万ドル相当にすぎません。そして、人工知能(AI)ブームから得た莫大な利益を、それほど過熱感のない、別のグロース株に振り向けています。

一方で、ウッド氏のファンドは、電気自動車(EV)などを手掛けるテスラ[TSLA]の株式を積極的に購入しています。直近1週間だけでも4回にわたって大量購入しており、今やアーク社の持ち分は7億6,300万ドルに達しています。

このような大量購入にもかかわらず、テスラはウッド氏の最大の保有銘柄ではありません。テスラはアーク社のポートフォリオの中で3番目に過ぎないのです。保有高1位は暗号通貨取引プラットフォームを運営するコインベース [COIN]で、アーク社の保有高は9億1,100万ドル相当に達します。これは、アーク社のポートフォリオの6.8%を占め、テスラの5.7%やエヌビディアのわずか0.6%を大きく上回ります。

アーク社は、最近の株価急騰を受けてコインベースを売却してはいるものの、コインベースが突出した保有銘柄であることに変わりはありません。これは、ウッド氏が暗号通貨セクターを有望視していることの証拠です。ウッド氏は利益確定を進める一方で、コインベースや、上場投資信託(ETF)の「アーク21シェアーズ・ビットコインETF」などにも永続的な成長機会があると見ています。

ほとんどの個人投資家は10億ドル規模で資金運用しているわけではありませんし、ウッド氏が成功している方法が個人投資家にも最適だとは限りません。しかし、ウッド氏のお墨付きがある銘柄は、詳しく調べる価値がありそうです。アーク社がコインベースを大量に保有する理由や、予想されるリスクとリターンについて検証してみましょう。

ウッド氏の見解:「クリーン度」がアピールポイント

ウッド氏は、暗号通貨セクターに大きな期待を寄せていることを明言しています。同氏は、「デジタルゴールド」とも呼ばれるビットコインについて、2030年の目標価格は148万ドルとする見通しを繰り返し表明しています。

世界経済はデジタル化しています。ビットコインはインフレをほとんど起こさない設計で、供給が厳しく制限されています。このため、市場が進化してもトップレベルの暗号通貨であり続ける限り、長期的に価格が高騰すると見られています。

ウッド氏はコインベースを、暗号通貨資産インフラの根幹を成す重要な存在と考えています。コインベースが規制遵守に重点を置いていることが、バイナンスなどの競合他社との差別化ポイントとなっています。犯罪行為が疑われたり、データセキュリティが懸念されているバイナンスとは異なり、コインベースは規制面に関してクリーンなシステムを構築しています。

このアプローチにより、コインベースは有利なポジションに位置しており、暗号通貨市場の成長に賭けたいと考えている投資家にとっても安全な投資先となっています。要するに、ウッド氏はコインベースは暗号通貨を広く普及させる上で欠かせない存在であると考えているのです。そのため、同氏が運用するファンドは、暗号通貨市場でスキャンダルや不正が発覚して株価が下落するたびに、コインベースの株式を買い増してきました。

ETFやビットコインにも熱視線

とはいえ、ウッド氏もコインベースだけに賭けているわけではありません。アーク社は2023年6月以降、コインベースのポジションを約半分に減らしており、その売却益等を別の投資先に振り向けています。大物投資家だって分散投資を活用しているのです。

その一部は、ビットコインそのものに直接投資されています。以前は、伝統的なファンドであるグレースケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)にも投資していました。最近では、アーク社はビットコイン関連のETF「アーク21シェアーズ・ビットコインETF」を運用しており、社内の別のファンドもこのETFに投資しています。つまり、ウッド氏は暗号通貨のエクスポージャーを1つのカートに入れるのではなく、複数の異なる資産クラスに分散させているのです。

個人投資家がビットコインに投資するとしても、ウッド氏と比べたらはるかに小規模になるでしょう。それでも、「賢者はだれでも同じように考える」となるのか、それとも両者ともそれぞれ同じ間違いを犯すことになるのか、それは時間が経てば分かるはずです。

コインベースを筆頭にビットコインに分散投資するウッド氏の戦略を真似るにせよ、独自のビットコイン戦略を取るにせよ、2024年はビットコインへの投資を少しは検討しても良いかもしれません。

 

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。

元記事の筆者Anders Bylundは、コインベース、グレースケール・ビットコイン・トラスト、エヌビディアの株式およびビットコインを保有しています。モトリーフール米国本社はコインベース、エヌビディア、テスラの株式およびビットコインを保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。