2023年も残り数日となりました。2023年最後のコラムとして、2023年の米国株の振り返りと2024年の相場展望について解説したいと思います。

2023年の米国株を振り返る

2023年は結果として、米国株にとって素晴らしい1年となりました。2022年から米国では利上げが始まり、QT(量的縮小)も始まったことで、2022年は相場サイクルでいうところの、いわゆる逆金融相場(景気が過熱してきたために中央銀行が利上げや量的縮小などの金融引き締めを行い、それらを要因に株価が下がる状態)が続いており、2023年も同じような軟調ムードで始まりました。

そして、金利上昇に伴う国債価格の下落によって国債の含み損を抱える銀行が増える中で、3月10日にシリコンバレー銀行(SVB)が突然破綻したことで市場を取り巻く環境は一変しました。さらに続いてシグネチャー銀行の破綻、そして自己資本比率が日本のメガバンクより高く、流動性もあったクレディ・スイスが危機に瀕して吸収合併されました。預金が急激に流出するという危機によって株価は急落しました。

しかし、その後、米連邦準備制度理事会(FRB)は前述の危機が金融危機に発展しないように「銀行タームファンディングプログラム(BTFP)(FRBが金融機関を対象に米国債や住宅ローン担保証券を担保として最長1年の融資をする仕組み)」を実施。

結果としてマネタリーベースは再び拡大に向かい、株式市場は危機が起これば中央銀行が対応してくれるという安心感を得て、その後の株価は上昇していき、結局、2023年12月にNYダウは2022年1月はじめにつけた過去最高値を更新するという株高が発生。アップル[AAPL]やマイクロソフト[MSFT]などの時価総額が最大級の銘柄も過去高値を超えてきています。

2024年も米国株は株高が続く可能性が高い

では、2024年はどのような年になるのでしょうか。個人的な相場観から結論を述べると、2024年も米国株は株高が続く可能性が高いと考えます。

チャートで言えば、S&P500が2022年はじめにつけた過去最高値を超えてくるようであれば、ブレイクアウトで上昇していく可能性が高まり、超えられないようであれば、はじき返されて下落する可能性が高まるとも言えるでしょうか。

もちろん、この種の予想は当たらないものですし、予想を当て続ける人などいないものです。実際のところ、アナリストが自分の予想通りに株を買って本当に利益を出しているのであれば、巨額の資産を築いているアナリストが多数いるはずですが、そうはなっていない現状を見ると、そういうものなのでしょう(もちろん、その一方で個人(法人)の投資家で成功され、巨額の資産を築いている方がいるのも事実です)。

そのようなことを前提に、飽くまでも個人的な相場観に基づく現時点の予想をお伝えしますと、米国の中央銀行であるFRBは金融引き締めをしているようでいて、実質的には金融引き締めをしていないように見えます。

確かに政策金利だけを見ると引き締めは最高潮に達しているといっても良いでしょう。しかし、マネタリーベースやマネーサプライを見ると、世の中のお金の量は未だに新型コロナウイルス前の2倍程度の水準で推移しており(つまり、量的緩和のペースに対して量的縮小のペースが非常にゆっくりであるため、このような状態になってしまっている)、さらに前述のように金融危機に繋がりそうな何かが発生すれば、中央銀行がそれを阻止すべく量的金融緩和を行うといった状況です。

これがいわゆる過剰流動性を巻き起こしており、その余剰資金があらゆるリスク資産に流れ込むので土地、株式、暗号資産などリスク資産は高値を維持しているような感じです。

むろん、この後、現在では予想し得ないような大きな経済問題が発生すれば株価は急落することになりますが、それは現時点では予期し得ません。現状の状況が続く、つまり過剰流動性相場がこのまま続くのであれば、2024年は引き続き株価が上昇しやすい1年となると思います(5~10月の半年間は株価が下がりやすいアノマリーなど、季節性の問題などから一直線に上がるわけではありません)。

日本では2024年から新NISAも始まりますし、投資をする人が一層増えるのではないでしょうか。皆様の資産が増え、幸せになる人が増えることを心よりお祈りしております。