日経平均は、2024年以降上昇基調を強めていく気配
日経平均は「投資の日(10月4日)」の安値を起点に上昇基調が続いています。2020年3月のコロナ後に安値を起点とした上昇を第1波とすると、2021年から2年余りの保ち合いとなった調整第2波を経て、2023年初に始まった上昇第3波の段階にあります。6月以降は小休止の局面ですが、2024年は一段と上昇基調を強めていく可能性が高いと見ています。
「最高シナリオ」の場合、日経平均は39,000円~40,000円などバブル時高値前後となるか
注目のハイテク株には、これまで業績回復期待があった反面、中国景気の想定以上の悪化で、バリュー株人気の陰で上昇しきれなかった銘柄が多く存在すると見ています。2024年前半はハイテク株の上昇が牽引する形で、春から夏にかけては36,000円程度を目指す展開になると予想しています。
また、内需の持ち直しやインバウンド需要は一巡する反面、米中の景気が持ち直すことで製造業の業績上振れが期待できそうです。
ここまで製造業の業績を支えてきた円安・米ドル高は一巡し、円高方向に急激に振れ幅が大きくなる場面もありましたが、2024年後半に向けては1ドル=150円のフシに向けて円安に戻っていくと見ています。
米国の長期金利は低下が一巡し、再び緩やかな上昇局面が予想されますが、米国株は史上最高値更新によって金利上昇による耐性がつき、日本株も上がりやすい環境になることが予想されます。
国内企業の業績改善のモメンタムは大きくはないですが、市場のリスク許容が高くなり、高PERを正当化する相場展開が予想されます。トランプ氏が米大統領に復帰すれば、「トランプラリー」のリスクオン相場も想定する必要があるでしょう。
2023年は東京証券取引所から株価純資産倍率(PBR)が継続的に1倍を割れている企業に対し、改善に向けた計画を求める方針が示されました。それによって、「PBR1倍割れ」銘柄に注目が集まりバリュー株相場を後押ししましたが、2024年は買われる銘柄とそうでない銘柄に分かれる可能性が高いと見ています。
日経平均は2024~2025年には39,000円~40,000円など、バブル時高値前後まで上昇する展開を予想しています。概ね、2020年のコロナショックを通じて急落した値幅分を上値に3倍返した水準が2年後までの上値メドと見ています。これが私の考える基本的な「最高シナリオ」です。
「最悪シナリオ」の場合、日経平均の下値メドは26,000円
一方で、2023年の強気相場の特徴は、米国の巨大ITハイテク株の持ち直しが、相場全体を牽引した点です。2022年のコラムでもこのテーマで同じことを解説しましたが、2024年もその影響が一巡するか、逆に大きく出るかで相場全体に真逆の力が生じるでしょう。前者が「最高シナリオ」の要因に1つとなり、後者が「最悪シナリオ」の要因の1つとなります。
「最悪シナリオ」で見た日経平均の下値メドは26,000円処です。2024年の年明けからさらに円高が進行し、1ドル=130円割れに繋がると、企業業績への下振れ懸念が強まるでしょう。海外景気が悪化する、回復があっても短命で終わる場合は日本株の上値を抑えます。
マイナス金利やイールドカーブ・コントロール(YCC)の撤廃などは金融政策の正常化という意味ではプラス要因になりますが、相場の下落局面などでETFの買い入れ政策を停止する議論が台頭する場合、投機筋による売りの材料になることが予想され、大きな値崩れの要因になることが予想されます。
トランプ氏の米大統領復帰で米中衝突が激化する懸念、米国債の格下げ、半導体関連の総崩れなども「最悪シナリオ」の要素になると見られます。