2023年は上昇基調を強めるか

2023年の日経平均は上昇基調を強める公算が大きいでしょう。2022年は2021年からのもみ合い相場から上に脱しきれそうにありませんが、3月の安値(24,681円)を底に、緩やかな上昇局面に入っているという見方を継続しています。

月足ローソク足でみると、9月は2012年秋口の安値を起点とした長期上昇トレンドラインまで下押す陰線を形成しましたが、10月は2020年11月以来の実体の長い陽線で切り返しています。12月は200日移動平均線付近まで調整を強いられているものの、あくまでも10月からの上昇に対する短期的な調整と考えられます。

ダウ平均の上昇は何を示唆するのか、また戻り高値が期待できるセクターとは

ダウ平均は9月30日安値から11月30日高値まで約2割上昇しました。その反動安が生じるのは当然です。さらなる景気減速が警戒されているという見方もありますが、その場合、あの株価の2割高は何だったのだということにならないでしょうか。景気減速は年初からの調整で織り込んでいるとしたら、あの2割高の上げは次の上げ相場の始点となる初動のサインではないかとの期待も強いわけです。

日経平均の短期的な上昇にはナスダックや半導体株指数の上昇が必要ですが、2023年は前半で31,500円処までの上昇を見込んでいます。内需の持ち直しやインバウンド需要が国内景気の支えになることや、円安基調の再来を追い風に製造業の業績に上振れ余地が生じるのではないでしょうか。

シンプルに考えると、米中の製造業PMIが改善基調に転換していることなどが、場面想定として考えられます。米国の長期金利の上昇から円安局面に再び転換し、6月に向けて円安・株高が進む展開を予想しています。

自動車株や部品株が挽回生産による業績期待で買われる他、電気機器や機械株などのハイテク株が戻り高値をつけるでしょう。夏場に一旦調整局面を迎えるも、年末に向けては33,800円処までの一段高を想定しています。そして、年後半はハイテク株の戻り高値からの調整が続く中、過去ITバブル崩壊後のように金融株へ資金シフトが生じることもあり得るでしょう。

日経平均の今後のシナリオを左右する要因

日経平均は、2024~25年にはバブル時の高値に迫る展開を予想します。概ね、2020年のコロナショックを通じて急落した値幅分を上値に3倍返した水準が、2~3年後の上値メドとみています。これが私の考える基本的な「最高シナリオ」です。

その一方、2022年の弱気相場の特徴は米国の巨大ITハイテク株の値崩れが、相場全体の戸惑いや重荷となった点です。2023年はその影響が一巡するか、逆に大きく出るかで相場全体に真逆の力が生じるでしょう。前者が「最高シナリオ」の要因の1つとなり、後者が「最悪シナリオ」の要因の1つとなります。

「最悪シナリオ」でみた日経平均の下値メドは21,000円処。年明けから3月まで下落する場合、当面の悪材料が潜在しているという解釈が必要ではないでしょうか。

海外景気がさらに悪化する、あるいは回復があっても短命に終わる場合は、日本株の上昇は見込みづらいでしょう。現政権に対する海外投資家の失望、日本の政治経済に大きな変化が見込めず、日本株に興味を示さないといったことの他、突然生じうる天災リスクや地政学リスク、米中による衝突、円高進行などは、相場を押し下げる「最悪シナリオ」の要素になるとみられます。