今年最後で最大のイベントFOMCに注目

今週は日銀短観や米CPIなど材料目白押し。しかし、今週最大の注目はFOMCである。今週の、というより今年最後で最大のイベントである。今回のFOMCで利上げ見送りはほぼ確定、FRBの利上げは既に終了したとの見方が支配的であり、焦点は来年の利下げに移っている。

先週のストラテジーレポート(円相場と株価)でも書いたが、FOMCを受けた市場のリアクションを考えよう。二者択一である。
【ケース1】FOMCで大幅な利下げが示唆される
【ケース2】FOMCではそれほど大きな利下げが示唆されない

【ケース1】の場合、市場はどう反応するか?すでに織り込み済みだから、大きくは反応しないと考えるのが普通だろう。【ケース2】はどうか?市場の期待が裏切られるのだからサプライズ的な反応になるだろう。

【ケース1】と【2】、バイアスを排除して50:50の確率だと仮定しよう。市場の反応として現れるのは期待値を考えれば、サプライズ的反応である。(【ケース1】はノーリアクションだから)。金利は上がり、ドルは買い戻され、米国株は下落 ‐ そうした反応に備えるべきである。

さて、上では【ケース1】と【2】の示現確率を50:50としたが、先週末発表の雇用統計が強い結果となったことで、【ケース1】の確率は低下しているだろう。雇用統計を受けてFEDWATCHの利下げ見込みは変化した。雇用統計前は3月のFOMCでの利下げが55%、据え置きが36%だったが雇用統計後は利下げが43%、据え置きが53%と逆転している。それまでは3月から利下げが開始され年5回、累計1.25%の利下げが見込まれていた。これで利下げ開始時期の予想も若干後ろ倒しになり、トータル5回という回数の確率も50%程度に低下している。これらを勘案すると、サプライズ的な反応となってもマイルドなものになるだろう。

ドットチャートによる来年の利下げ回数は3回と予想

今週のFOMCの予想を出しておこう。FOMC参加者らの政策金利見通し(ドットチャート)が示す2024年の利下げ回数は9月時点の2回から3回に増える程度だと予想する。これは市場の期待に沿わないので失望というリアクションになるが、前述の通り、雇用統計の結果で過度な期待が修正されており、極端なボラティリティの上昇は抑えられるだろう。

日経平均は年初来高値更新に期待

結論として米連邦準備理事会(FRB)に対する過度な利下げ期待が後退し、ドル安が巻き戻される。急激な円高を受けて売られた日本株も反発するだろう。

先週末の雇用統計を受けた米国株市場ではダウ平均とS&P500はともに、年初来高値を更新した。今週、史上最高値に迫る場面もあるだろう。その場合、日経平均も年初来高値を更新する可能性もある。

気がかりは日本の政治リスク

ただし、気がかりなのは日本の政治リスクの高まりだ。自民党の清和政策研究会(安倍派)が政治資金パーティーの収入の一部を裏金化していた疑惑を巡り、松野博一官房長官に加え、高木毅・党国対委員長、西村康稔経済産業相、萩生田光一・党政調会長ら安倍派の6幹部が更迭される。来年度予算編成後の12月下旬以降に内閣改造・党役員人事に踏み切る案が浮上するなど、政治的な不透明感が急速に高まっている。これが株価の重荷になる懸念がある。

予想レンジは3万2000円~3万3900円とする。