◆最終回から1カ月。大変ありがたいことに、小欄の終了を惜しむ声を多くの読者からお寄せ頂いた。再開を希望する旨のご要望もたくさん頂戴した。おこがましいが、そのようなご意見が多少なりとも来るのではないかと自惚れていたところは正直あった。しかし、実際に届いた、その数の多さたるや!頂いたメッセージの多さは僕の予想をはるかに超えるものだった。こんなに大勢のひとにご支持いただいていたのだと改めて知り、感謝感激である。温かいメッセージを送ってくれた読者の皆様に、せめて一言、御礼を申し上げたく、再び小欄の筆を執った次第である。

◆「温かいメッセージ」と書いたが、なかには少々荒っぽいものもあった。
「なにっ?最終回だとお?誰に断って勝手にやめんてんじゃねえぞ!(筆者注:言いたいことはわかるが日本語が正しくない)」
「毎日書くのは大変だろうが、それが文筆家の仕事ではないか(筆者注:僕はストラテジストであって、いつから「文筆家」になったのだろう)」
「ふざけるな!こっちは『新潮流』を読まないと一日が始まる気がしないんだ。さっさと再開しやがれ!(筆者注:日本テレビ系列「嵐にしやがれ」の視過ぎである)」

◆厳しい言葉も「可愛さ余って憎さ百倍」、そう思えば腹が立つどころか、これに勝る光栄な賛辞もないと思える。いちばん多かったのが以下のような内容のお便りだった。「毎朝、読むのが日課でした。『新潮流』のない朝は寂しいです」。僕も同じ気持ちである。『新潮流』のない朝は、確かにちょっと寂しい。

◆6月も下旬となった。今年も半分が過ぎようとしている。日経平均は2万円の大台を超え15年ぶりの高値をつけた後、やや調整局面となっている。決算発表や日米の金融政策会合を終え、相場的には材料難の時期か。陰暦6月の呼称は水無月だが、無いのは「水」だけではなく、「株価材料」もまた然りだ。

◆6月は別名、「風待月」とも言う。休むも相場、の格言通り、材料難で方向感がつかめないときは無理に売買することはない。相場が次のステージに移行するまで小休止でよいのではないか。風が吹くのを待ってから船出するのに越したことはない。広田 弘毅もこう詠んでいる。

風車 風が吹くまで 昼寝かな

鬱陶しい梅雨空が続く毎日だが、夏の扉はすぐそこまで来ている。心地良い風が吹くのを待つ季節である。

『新潮流』終了に際して大変多くのフィードバックを頂戴し誠にありがとうございました。謹んで御礼申し上げます。

マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆