今週(11月10日~11月16日)の相場動向

相場回顧 BTC:米国政府閉鎖問題に左右される展開、経済指標はインフレ減速を示唆

ビットコインは暗号資産取引所ポロニエックスの大規模なハッキング事件が起こる中で上値の重い展開となった。BTC=559万円(37,000ドル)付近で価格が停滞し、市場ではボラティリティを求めてアルトコインの買いが強まった。

リップルの現物ETF申請に関するフェイクニュースが話題となり、XRPの価格が乱高下すると、ビットコインも売りが強まった。米国政府閉鎖問題によってETF審査が遅延するとの懸念もあり、14日には一時BTC=528万円(35,000ドル)付近まで下落した。この日に発表された米10月消費者物価指数は総合とコアともに鈍化し、12月連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げ観測は後退したが、事実売りも意識されたか。

その後、米国議会にてつなぎ予算案が可決され、米国政府閉鎖がひとまず回避される見通しとなった。これを受けてビットコインは買戻しが次第に強まり、米10月生産者物価指数および米10月小売売上高の鈍化もインフレ減速を後押しする材料となり、BTC=574万円(38,000ドル)付近まで急回復した。

米国証券取引委員会(SEC)が一部のETF審査を延期したが、いずれも一次審査の段階であったことから相場への影響は限定的となった。

 

来週(11月17日~11月23日)の相場予想

BTCはインフレ鈍化で株式とともに買いの勢いを強めるか、ETF期待も継続

米国では消費者物価指数と生産者物価指数が揃って鈍化傾向となり、インフレ減速の期待が高まっている。米国金利も11月に入ってから低下しており、12月FOMCでの追加利上げ観測も後退する中で、このまま暗号資産が株式とともに買いの勢いを強めることは考えられる。

米国予算をめぐる協議についても来年まで期限が先延ばしとなり、金融市場では大きな懸念材料なしに年末の相場を迎えることになりそうである。

米国では、ブラックロックがビットコインに続いてイーサリアムについても現物ETFの申請に動いたことにより、それらの承認に対する期待が高まっている。審査待ちでビットコインの相場がもみ合う時には一部のアルトコインの値動きが荒くなる可能性もあるが、それによって価格を下げた場合でも乗り遅れまいとする投資家によって相応に買い支えられると予想する。

また、スタンダードチャータード銀行やHSBC銀行、USB銀行、コメルツ銀行など名だたる金融機関が暗号資産関連事業の立ち上げに動いている。金融市場がリスクオンに傾いた時に彼らの抱える顧客が市場へ本格参入すれば、暗号資産の相場を押し上げることになるだろう。

直近上値として米ドル建てで節目となるBTC=604万円(40,000ドル)、下値として今週の底値付近であるBTC=528万円(35,000ドル)を意識する。