中東情勢の悪化を受け、米国10年債が5%超え。S&P500の下値支持線に注目

先週のS&P500は2.39%下落、ナスダック100も2.9%の下げで終わりました。

10月7日に起きたイスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃から始まった中東地域の情勢悪化は収まる気配はありません。もともと世界の火薬庫と言われていた中東での今回の件、さらに情勢が悪化してもおかしくないような状況です。

世界3位の石油の埋蔵量を誇るイランの関与が疑われる中、10月の初旬81ドル台へ下がったWTIは先週後半90ドル台を超えてきました。

このような流れを受け、米長期金利が上昇、先週10月19日(木)に米10年債利回りは2007年7月20日につけた5.029%を超えてしまいます。実に16年振りに5%を超えたのです。2023年7月末時点では同利回りは4%を下回っていました。

ある意味これまで「金利の言いなり」になっていた株式市場への影響はというと、2023年の高値である7月31日のS&P500の4,588.96ポイントからは7.95%の下げとなっています。

先週のS&P500は4,224ポイントで引けています。今後注目すべきは4,195〜4,229ポイントの4,200を中心としたレベルが強固な下値支持線となっています。

一方、S&P500の上値抵抗線はというと4,300ポイントあたり(4,311〜4,335)となっています。

長期債の利回りはピークをつけたという予想と「コンセンサスは常に間違う」というセオリーの可能性

投資家のセンチメントを見てみたいと思います。

アメリカの個人投資家のセンチメント指標である個人投資家協会(AAII)のブルベアレシオを見ても、直近のデータでは弱気の投資家が増えています。

一方、バンク・オブ・アメリカ(BofA)証券が出す、プロの投資家心理を示すブル・アンド・ベア指数も引き続き弱気という結果が出ています。平均キャッシュ比率は5%を超え投資家の慎重なスタンスを示唆、これを逆張りに見る同調査では買いシグナルが点灯しています。2011年からこれまでで買いシグナルが点灯すると、次の2ヶ月で2%上昇、次の3ヶ月では4%上がってきているそうです。

また同社のアンケートによると、今後12ヶ月間で長期金利は下落すると予想する投資家の割合は56%と、これは2003年の同調査が開始されてからここまで高いレベルに達したのは初めてのことです。私もそろそろ長期債の利回りはピークをつけたと感じている一方、コンセンサスは常に間違うというセオリーが正しいとすれば、ひょっとすると金利はまだ下げに転じない可能性もあるのかなとも思っています。

また、プロのファンドマネージャーのうち、3人中2人が年末の株式市場のラリーを期待しています。

今週の米国株式市場の注目ポイント:GAFA銘柄の決算発表

そんな中、米国株市場では第3四半期の決算発表が本格化します。これまでのところS&P500社のうち86の企業が決算発表を終えています。今回の決算発表は、9月末の段階で0.97%の増益予想だったのですが、これまでのところ前年比で2.2%の増益となっています。発表はまだ半分も終えておらず、ここまでのところの数字はそれほど参考にはならないでしょう。今週は171 社の決算発表が予定されており、その中でも注目はGAFAM銘柄の決算発表であり、今週の米国株市場のセンチメントに影響を与えることになります。

今週のGAFAM銘柄の決算発表は以下の通り。

10月24日マイクロソフト[MSFT]、アルファベット[GOOGL]
10月25日メタ・プラットフォームズ[META]
10月26日アマゾン・ドットコム[AMZN]