今週(9月15日~9月21日)の相場動向
相場回顧 BTC:アルトコインからの逃避により堅調
ビットコインは堅調に推移した。米バイナンスの米国法人で幹部数名が退任したと報じられ、さらには同社に対して米証券取引委員会(SEC)が裁判における証拠開示を要求した。これらを受けてバイナンスへの懸念が強まり一時は売り優勢となった。
しかし、先週の公聴会でゲンスラーSEC委員長が「大半の暗号資産は証券である」との姿勢を維持した後は、アルトコインからビットコインへの資金流入が継続した。特にイーサリアムは初期の大口投資家が資産を移動したことが話題となり、売り圧力が警戒されて弱い値動きとなった。そのような中、ビットコインのドミナンスは50%まで上昇し、価格もBTC=400万円(27,000ドル)を上抜けた。
注目された米連邦公開市場委員会(FOMC)では市場予想通り政策金利が据え置かれたが、2024年以降の米連邦準備制度理事会(FRB)金利見通しが引き上げられたことでタカ派的な印象が強まった。その後、市場では日銀金融政策決定会合での政策修正を警戒する動きもあり、ビットコインは上値が重くなった。
来週(9月22日~9月28日)の相場予想
BTCは高金利の長期化懸念により上値の重い展開か、RWA関連の動向には注目
金融市場では原油価格の高騰を背景にインフレが再燃する懸念が高まっており、米国をはじめ各国の金利が利上げ観測の高まりとともに上昇している。米FOMCを通過したことで短期的にリスクオンが強まることは考えられるが、高金利の長期化懸念によってリスク資産は上値の重い展開が続くと予想される。来週も米国の8月個人消費支出(PCE)指数やユーロ圏の9月消費者物価指数(CPI)指数<速報値>といった経済指標によってインフレおよび金利の見通しに影響が及び、それによって相場が左右されるだろう。
米SECによる暗号資産規制への警戒感からビットコインに資金が集中している。このまま逃避資金によってレンジを引き上げることも考えられるが、暗号資産市場全体の時価総額はほとんど横ばいで推移しており、新しい資金の流入無しに相場が大きく上向くことは難しいだろう。
ただし、最近になってドイツ銀行やシティ銀行などの大手金融機関が株式・債券などの実物資産(Real World Asset:RWA)をトークン化する事業展開に動いており、ビットコイン現物ETFも然り、投資家層の参入増加に繋がる期待材料は密かに存在している。
直近、上値として前月の高値付近であるBTC=423万円(28,500ドル)、下値として今月の安値付近であるBTC=370万円(25,000ドル)を意識する。