今週(8月18日~8月24日)の相場動向
相場回顧 BTC:ジャクソンホール会議を前に方向感に乏しい展開
ビットコインは、米国金利が上昇し、中国不動産バブル崩壊への懸念も強まる中で次第に売りが強まった。イーロン・マスク氏が率いるスペースXが保有分のビットコインを一部売却したとウォール・ストリート・ジャーナル誌が報じたことも様々な憶測を呼び、一時BTC=370万円(25,500ドル)付近まで大きく下落した。この時、先物市場では大量のロングポジションの清算が発生した。
米国でイーサリアム先物ETFが承認されるとの期待からイーサリアムが強い値動きとなったが、リップル訴訟を巡る不透明感もあり、ビットコインは軟調な推移が続いた。バイナンスがユーロ圏で入出金を一時停止したことや、米FBIが北朝鮮ハッカーによるビットコイン売却を注意喚起したことも懸念され、再びBTC=370万円(25,500ドル)付近まで価格を下げる場面も見られた。
しかし、8月23日には弱い8月の総合購買担当者指数(PMI)を受けて米国金利が低下し、エヌビディア[NVDA]の決算発表も好感され、米国株とともに買い戻しが強まった。その後は、8月25日に同会議でのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言を控え、様子見ムードが広がった。
来週(8月25日~8月31日)の相場予想
BTCはジャクソンホール会議通過後も米雇用統計を控えて動意に乏しい展開か
まずは8月25日、日本時間23時頃に控えるジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の発言に注目が集まる。前回の米連邦公開市場委員会(FOMC)と同様、経済指標を見極めながら会合ごとに慎重な判断を行うとのスタンスを示し、無難に通過すると予想する。しかし、9月以降の追加利上げの可能性や2024年以降の利下げ時期についてタカ派寄りの発言がされた場合、米国金利の上昇とともにリスク資産の売りが強まることは考えられる。また来週は8月雇用統計の発表もあり、会議後に追加利上げへの懸念が強まった時には、その内容次第で相場が売りに傾く可能性もあるだろう。
2023年6月以降、米国におけるビットコイン現物ETFの承認とリップル訴訟問題の進展に対する期待が相場を押し上げてきたが、直近にかけてはこれらの期待が薄れている。また、コインベースのBASEネットワークも取引の盛り上がりが一服している。
このような中、ロシア制裁回避を幇助したとの疑いから規制当局によるバイナンスへの取り締まりが一層厳しくなっており、各国における金融パートナーとの関係が悪化するなど、バイナンス関連で追加の悪材料が出た時には売りが強まる恐れがある。一方、市場全体として明るい話題に乏しい状況だが、先週の大幅下落によって先物ポジションが大量清算されたため、一旦下げは落ち着くとの見方もある。
直近、上値として下落前のレンジ底値付近であるBTC=406万円(28,000ドル)、下値として2023年6月の底値付近であるBTC=362万円(25,000ドル)を意識する。