東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は反落となりました。76円高の32,280円で寄り付いた日経平均は直後に108円高の32,312円まで上昇しましたが、伸び悩むと取引開始から10分余りでマイナスに転じ10時20分過ぎには411円安の31,791円まで下落しました。その後は押し目買いが入り下げ渋ると後場に入り節目の32,000円を回復する場面もありました。しかし、32,000円を上回ったところでは上値が重く結局259円安の31,943円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

日銀が7月の金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の修正に踏み切るとの観測がやや強まったことでメガバンクが買われました。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が一時3.0%高となったほか、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が一時2.6%高、みずほフィナンシャルグループ(8411)も一時2.0%高となりました。第1四半期決算を発表したローソン(2651)やパルグループホールディングス(2726)、コーナン商事(7516)も大幅高となりました。ローソンは新型コロナウイルスの5類移行で人流が戻り、店内調理品やおにぎりの販売が好調だったうえ、コンサートやスポーツ観戦のチケット販売も伸びたことなどで第1四半期の事業利益が前年同期比で63.9%増となったことから16.0%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しました。パルグループホールディングスも衣料事業が好調で第1四半期の営業利益が前年同期比で29.0%増となったことや、1株を2株にする株式分割を発表したことから一時12.3%高となり上場来高値を更新しています。さらにコーナン商事も建設職人向け専門業態が堅調に推移したことに加え、水道光熱費など販売管理費の伸びを抑えたことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比で4.2%増となったことから3.2%高となっています。

一方で本決算を発表した婦人服大手のハニーズホールディングス(2792)が10.0%安となりました。円安進行に伴う仕入れコストの上昇や人件費の増加で2024年5月期の営業利益が前期比で4.8%減となる見通しを示したことから売りが膨らみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は259円安となりました。昨日の米国市場が続伸となったことで買いが先行しましたが、ドル円が日銀の緩和修正観測を受けて139円台前半まで円高となったことから売りが優勢となり、節目の32,000円を割り込み一時は410円以上下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると後場には32,000円を回復する場面もありました。そのため押し目買い意欲は引き続き健在だといえますが、32,000円を下回り250円を超す下落となったことから調整局面入りへの警戒感が一段と高まりそうです。なお、小売り企業を中心とした2月決算銘柄の第1四半期決算発表が本格化しています。本日も引け後にエービーシー・マート(2670)やイオン(8267)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には6月の米消費者物価指数(CPI)が発表される予定です。米連邦準備理事会(FRB)による今後の金融政策を占ううえで関心の高い経済指標だけにマーケットの反応が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)