2回目が最後となった2022年、2024年の介入局面

日本の通貨当局は、2022年と2024年に為替介入により円安から円高への反転に成功した。ただしこの2回とも、1回目の介入局面で円高へ反転させたわけではなく、決定打となったのはともに2回目だった(図表1参照)。少し具体的に見てみよう。

【図表1】米ドル/円の月足チャート(2021年~)
出所:マネックストレーダーFX

2022年の介入

2022年、最初の米ドル売り・円買い介入は9月22日に145円程度で行われた。しかし間もなく、米ドル高・円安は145円を超えて広がった。これに対して、最初の介入から約1ヶ月後の10月21日に、今度は151円で米ドル売り・円買い介入を再開した。さらに翌営業日の10月24日にも改めて介入に動いた結果、この局面の米ドル高・円安は151円で終わった。

2024年の介入

2024年の最初の米ドル売り・円買い介入は4月29日、160円で行われた。さらに5月1日にも介入を行うと、米ドル安・円高はそのまま151円程度まで戻した。ここまでのところでは、今回は1回の介入局面で円高への反転に成功したと感じた関係者も多かったのではないか。

ところが、米ドル安・円高が150円の大台割れに至らず一段落となったところで流れが変わった。きっかけは当時のイエレン米財務長官による「為替介入はまれであるべき」という発言だった。これが日本の介入をけん制したものとの受け止め方が広がると、米ドル買い・円売りが再燃した。

これに対して、日本の通貨当局は7月11日、161円で米ドル売り・円買い介入を再開、翌12日も介入を続けると、結果として161円で米ドル高・円安への歯止めに成功した。

次がこの局面で最後の介入?

以上のように、2022年、2024年とも、当局による円安阻止介入局面は2回までで終わった。その間に費やした介入額の合計は2022年が9兆円、2024年が15兆円だ。これに対して、今回4月30日から数日にわたって行われた介入は合計で11兆円だった。2024年までの介入実績を参考にすると、介入額の合計は20兆円程度までにとどめ、なるべく次の介入局面を最後にしたいと考えている可能性もあるのではないか。

少しでも160円より円高への誘導狙う=ゴールデンウィーク介入

4月30日の米ドル売り・円買い介入は、米ドル/円が160円以上で推移している中で、片山財務大臣と三村財務官が相次いで介入の実施を強く示唆、それを受けて159円台へ米ドル/円が下落したところで介入が始まったとみられる(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円の1時間足チャート(2026年4月24日~5月1日)
出所:マネックストレーダーFX

米ドル/円はその日のうちに155円台まで急落、そして日本のゴールデンウィーク中、米ドル/円の反発は157円を大きく超えられない程度にとどまったが、その中でも米ドル売り・円買い介入が断続的に行われたとみられている。

以上からすると、この局面での米ドル売り・円買い介入は156~159円程度で行われた可能性が高いだろう。そうであれば、それは160円で円安を止めるというより、160円より少しでも離れたところまで円高へ誘導することを目的とした介入のように感じられる。

150円まで円高への反転目指す=日米協調介入は?

当局の頭の中には、根強い円安マインドを変えるためには、米ドル/円の水準を変え、最近の160円近辺から少なくとも150円程度まで円高へ反転させる必要があるという考え方がある。そう考えると、少しでも160円から離れたところまで円高誘導を狙ったようなゴールデンウィーク中の介入戦略も、まさに米ドル/円の水準自体の変更を目的としていたということではないか。

その上で、次の介入局面で円高への反転を決定づけることを狙うなら、150円を目標とした円高誘導を意識した介入戦略ということになりそうだ。ただそれは、日本の単独介入だけで実現できるのか。1月23日に円安けん制の「レートチェック」を日米協調で行ったように、日米協調の米ドル売り・円買い介入の可能性も注目される。