モトリーフール米国本社 – 2026年6月14日 投稿記事より
2026年6月12日の新規上場(IPO)前の数週間に、実業家イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業スペースX[SPCX]は、データセンターの計算(コンピューティング)容量の一部を貸し出す大口契約を立て続けに獲得しました。
1つはAIスタートアップ企業のアンソロピック、もう1つはIT大手アルファベット[GOOGL]傘下のグーグルとの契約です。両社との合意によってスペースXは、継続的な収入をAIインフラの費用に充当することが可能になります。
一方、舞台裏では、こうした契約は半導体大手エヌビディア[NVDA]がAI業界において支配的な地位にいることを、改めて浮き彫りにしました。
スペースXが結んだ巨額契約、浮き彫りになるエヌビディアの圧倒的な存在感
2026年5月6日、アンソロピックは月額12億ドル強でスペースXからコンピューティング容量を借りることで合意しました。この契約は2029年5月まで続く予定ですが、スペースXが提出した上場申請書類によれば、双方は90日前の通知でいつでも契約を解除できます。
そして2026年6月5日、規制当局への提出書類によって、スペースXがグーグルとも契約を結んでいたことが明らかになりました。初期の立ち上げ期間を経て、グーグルは月額9億2,000万ドルをスペースXに支払う内容で、契約期間は2026年10月から2029年6月までです。2027年以降は、両社は90日前の通知で契約を終了することができます。
アンソロピックとの契約では、スペースXはコロッサス・データセンターの全容量をアンソロピックにリースします。そこには22万台を超えるエヌビディア製グラフィック処理装置(GPU)が格納されています。またグーグルとの契約では、グーグルはスペースXが保有するデータセンター内の約11万台のエヌビディア製GPUにアクセスできるようになります。つまり、アルファベットのような巨大テクノロジー企業でさえ、AI半導体を自社で内製して自立性を高めようとしているにもかかわらず、今回の契約はAIの主流は依然としてエヌビディアが押さえているという現実を浮き彫りにしています。
宇宙へ広がるAIインフラ、スペースXの構想を支えるエヌビディア
スペースXの長期計画には、データセンター向けサーバーを搭載した多数の衛星を軌道上に打ち上げ、地上のデータセンターが直面する制約の一部を回避する構想が含まれています。エヌビディアもその計画の一翼を担っています。
スペースXは上場申請書類の中で、「具体的にはスペースXの再利用可能なロケット、衛星の大量生産、運用面での専門知識によって、軌道上のデータセンター向けに、数百万基に及ぶ可能性のある大型のAIコンピューティング衛星群を、低コストかつ迅速に展開可能と考えている」と述べています。
そうした将来の衛星の第1弾である「AI 1」は、エヌビディア製の半導体を使用する設計になっています。これは驚くことではありません。エヌビディアは3月に、「Space-1 Vera Rubin モジュール」というアーキテクチャーを発表し、これは宇宙空間への配備に適した、大規模AIモデルの運用に適合するよう設計されています。
スペースXは半導体を自社で設計しており、電気自動車(EV)大手のテスラ[TSLA]や半導体大手のインテル[INTC]と共同で巨大な半導体受託生産工場(ファウンドリー)を建設する計画もあるため、将来的にはエヌビディアに依存する必要性は小さくなるかもしれません。しかし、当面の間は、地上であれ宇宙空間であれ、エヌビディアはスペースXの野望から恩恵を受ける見込みです。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Jack Delaneyは、記載されたどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社は、アルファベット、インテル、エヌビディア、テスラの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、情報開示方針を定めています。
