先週(6月15日週)の振り返り=FOMC後に円安拡大、「歴史的円安」161.9円に肉薄

日米金融政策発表を受けて金利差拡大=米ドル高・円安を後押し

先週(6月15日週)の米ドル/円は、この間の高値を更新しました。日米の金融政策発表が注目される中で、161円も超えてきました。これに対して日本の通貨当局による米ドル売り介入が警戒されたものの、それが確認されない中で一時161.7円と、2024年7月の「歴史的円安」とされた161.9円に肉薄しました(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円の日足チャート(2026年2月~)
出所:マネックストレーダーFX

このように米ドル/円が161円を超えて続伸したのは、日米金利差(米ドル優位・円劣位)が拡大した影響が大きかったでしょう。米国とイランが戦争終結の暫定合意に達したことで原油価格が急落し、それにつれて米金利も低下したことから、週前半は日米金利差は縮小しました。ただ6月17日のFOMC(米連邦公開市場委員会)を境に米金利が大きく上昇すると、日米金利差も急拡大し、161円を超える米ドル高・円安を正当化するところとなりました(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円と日米2年債利回り差(2026年4月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

新FRB議長は「タカ派」との見方=FOMC後に米金利が急上昇

日米の金融政策は、6月16日に日銀が利上げを決定したのに対し、翌6月17日のFOMCは政策金利の据え置きを決めました。それだけを聞くと、むしろ米ドル安・円高になりそうです。しかし実際は逆に米ドル高・円安となりました。これは、市場金利の変化によるものです。金融政策を反映する2年物国債利回りは、日本のそれがほぼ横ばいだったのに対し、米国のそれはFOMC後に大きく上昇しました(図表3参照)。

【図表3】日米の2年債利回りの推移(2026年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

今回のFOMCは、新しいFRB(米連邦準備制度理事会)議長のウォーシュ氏が初めて参加しました。利下げを要求するトランプ米大統領に指名されたウォーシュ新議長については、金融緩和支持、いわゆる「ハト派」の可能性が注目されていました。さらにFOMC直前には、イラン戦争終結の暫定合意により原油価格が急落し、米金利も低下傾向となっていました。

これに対して記者会見でウォーシュ新議長がインフレ目標達成の必要性を強調したことなどから、予想以上の「タカ派」の可能性と受け止められ、FOMC直前までの米金利低下傾向の反動もあって米金利上昇が勢いづいたということではないでしょうか。

米利上げの早期化や連続化を試す=円安の行方の鍵に

金融政策を反映する米2年債利回りは、すでに5月半ば以降4%以上で推移、米国の政策金利のFFレート誘導目標上限の3.75%を0.25%以上上回り、1回の利上げを織り込む動きとなっていました。

ただ今回のFOMCを受けて、米2年債利回りは一時4.2%まで上昇、FFレートの誘導目標上限からの上ぶれは0.5%近くに一段と拡大しました(図表4参照)。これは、利上げの早期化や「0.25%×2回」という連続利上げを織り込む意味と考えられます。この見方がさすがに「先走り過ぎ」なのか否かが、さらなる米金利上昇の有無を決めることになるでしょう。それは日米金利差を通じて、米ドル高・円安の行方を考える上で鍵を握りそうです。

【図表4】米2年債利回りとFFレート(2020年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

今週(6月22日週)の注目点=円安阻止方針は変わらない?

161円超えでも介入なし?=片山大臣は「断固とした措置をとる」

日本の通貨当局は、4月30日に、米ドル高・円安が160円を大きく超えてきたところで円安阻止の米ドル売り・円買い介入に動いたとみられました。またこれは、4月28日の日銀金融政策決定会合、4月29日のFOMCと2日続いた日米金融政策発表が終了した後のタイミングでもありました。

先週も6月16日の日銀会合と6月17日のFOMCを経て、160円を超える米ドル高・円安が広がりました。そのため円安阻止介入の再開可能性が注目されましたが、これまでのところ介入は確認されていません。これについて、片山財務大臣は6月19日、「投機的な動きがあれば(為替介入の意味と理解されている)断固とした措置をとるということにつきます」と述べました。

投機的米ドル買い・円売りは4月末の介入局面より拡大の可能性

では、「投機的な動き」はどうなっているのでしょうか。CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、4月30日に為替介入が始まる前は売り越しが9万枚でしたが、6月9日時点では14万枚に拡大しました(図表5参照)。また、同じ期間の米ドルのポジション(非米ドル主要5通貨=円、ユーロ、英ポンド、加ドル、豪ドルのポジションで試算)は、買い越しが9万枚から29万枚に大きく拡大しました(図表6参照)。

【図表5】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2022年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
【図表6】CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2024年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

これらは、経験的には円の「売られ過ぎ」、米ドルの「買われ過ぎ」懸念が強くなったことを示すものです。その意味では、4月30日に円安阻止介入を始めた時以上に、最近は米ドル買い・円売りの「投機的な動き」が強くなっている可能性がありそうです。

にもかかわらず先週、為替介入という「断固とした措置」が取られなかったのだとしたら、あくまでテクニカル要因などが理由でしょう。片山大臣の言葉をそのまま受け止めるなら、「160円を大きく超える円安を容認しない」という方針自体に変わりはない、ということになるでしょう。

円安阻止方針は変わらず?=今週の米ドル/円は157~162円で予想

今週(6月22日週)は、PCEコアデフレータなど重要な米インフレ指標の発表が予定されており、結果次第では米利上げの早期化や連続化の見方が試されることになりそうです。米金利上昇や日米金利差の拡大は米ドル高・円安要因です。一方で、日本政府の「160円を大きく超える円安を容認しない」という方針が変わらないなら、円安阻止介入はいつ再開してもおかしくないでしょう。介入が行われた場合、経験的には5円程度、大きく円高に動く可能性があります。

以上を踏まえ、今週の米ドル/円は157~162円で予想します。