今週(6月2日~6月8日)の相場動向

相場回顧 BTC:米国規制リスクによって売りが強まる

ビットコインは米国金利が上昇する中で軟調に推移していたが、注目の米5月雇用統計は強弱入り交じる内容となり、次回米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ停止予想が維持されたことでBTC=377万円(27,000ドル)付近では底堅く推移した。

6月3日から4日にかけては薄商いでもみ合いの展開が続いたが、6月5日に米証券取引委員会(SEC)が大手暗号資産取引所バイナンスと代表のCZ氏を提訴したことが伝わると、規制リスクへの警戒感からBTC=356万円(25,500ドル)付近まで急落した。立て続けに米SECがコインベースも提訴したが、これを受けて同社CEOの「我々はビットコインに注力すべき」との過去ツイートがSNS上で拡散され、ジャック・ドーシー氏も賛同のコメントを寄せる中、思惑的にBTC=377万円(27,000ドル)付近まで急回復した。

しかし、米イエレン財務長官が米SECの対応を支持する発言をし、米国での取り締まりが一部海外にも波及したことで売りが継続した。カナダ中銀が予想に反して政策金利を引き上げたことを受けて次回FOMCでの追加利上げ観測が高まり、米国金利が上昇したことも嫌気された。

 

来週(6月9日~6月15日)の相場予想

BTCは米FOMC前後の売りに警戒、米国の規制リスクも重し

来週はいよいよ米国のFOMCを迎える。今回での利上げ停止予想が優勢となっているが、カナダ中銀の利上げ再開を受け、米国においても追加利上げの可能性が警戒されている。米6月消費者物価指数がインフレの高止まりを示唆する内容となった場合には、その後のFOMCで利上げ停止が決定されたとしても、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のタカ派発言によってリスク資産の売りが強まることは考えられる。

また日欧の金融政策決定会合の内容にも要注目である。ユーロ圏では0.25ポイントの利上げが予想されており、FOMCに続いて世界的な金融引き締めの継続が印象づけられることで売りが強まることはあるだろう。一方、日本は現状維持の予想だが、それによって日米金利差が拡大し、円安進行とともに円建てではビットコインの価格を下支えすることは考えられる。

米国では米SECとコインベースの対立が激化している。ゲンスラーSEC委員長は「米国にデジタル資産は不要である」と暗号資産について否定的な発言をしている一方で、コインベースのCEOは「米SECは明確なルールを定めず業界の発展を阻害している」との指摘をしている。この対立によって米国の規制リスクが強く意識され、短期的には売りが強まるだろう。一方、サークルをはじめ暗号資産関連企業が米国外でライセンスを取得する動きが続いており、米国離れが進む中で他の地域で何かブームが起こることに期待したい。

直近、上値として今月高値付近となるBTC=384万円(27,500ドル)、下値として2023年2月高値付近となるBTC=349万円(25,000ドル)を意識する。