逆行現象の発生で一旦上値が重くなる

前回のコラムでは、日経平均が高値を更新している中、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見ると、株価の上昇とは逆にモメンタムが低下している(=逆行現象の発生)と解説しました。

その後、日経平均は一旦上値が重くなり、5月31日には上向きの5日移動平均線を割り込む場面がありましたが、翌営業日となる6月1日に5日移動平均線上をわずかながら上回って回復すると、その後は再び上昇しているのが分かります。

また、この時のモメンタムを見ると、低下中だったモメンタムとその移動平均線であるシグナルが急角度で上向きに変化し、6月6日まで上昇が続いて、過去の高水準に接近しています。

これは、モメンタムが上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ライン上で反転していることから、上昇の勢いが再び強まっていることを示していることになり、前回のコラムで解説した「逆行現象」が打ち消されていることを示しているわけです。

その結果、日経平均は33年ぶりの高値水準を連日で更新する結果となり、ついに32,000円台に乗せて終えています。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成

モメンタムの上昇はどこまで続くのか

今回のモメンタムとシグナルの上昇は、一旦発生した逆行現象を打ち消す上昇となっているわけですが、モメンタムとシグナルの上昇は、どの水準まで続くのでしょうか。

モメンタムとシグナルが急上昇していることから、上昇の勢いが強まっているのですが、注目はモメンタムの水準です。

株価水準が切り上がっているにも関わらず、モメンタムの水準は株価ほど上昇しておらず、過去の高い水準に接近しているものの、突き抜けているわけではありません。
そのため、モメンタムの上昇が過去に止まった高い水準を突破できるかが注目ポイントになると思われます。

仮にモメンタムの水準が過去の高い水準を突破したり、高い水準で横ばいになったりして、低下しなければ、上向きの5日移動平均線上を維持して上昇トレンドが継続しそうです。しかしモメンタムが過去の高い水準でピークアウトして下向きに変化するようですと、5月下旬の時のように一旦上昇が止まることが視野に入るため、買いポジションを持っている投資家は売り時を逃さないようにする必要があると思われます。

また、モメンタムとシグナルの低下が続いて5日移動平均線を下回るとともに、5日移動平均線が下向きに変化するようですと、25日移動平均線辺りまでの下落が考えられますので、押し目買いは控えるか、慎重に行う必要があるのではないかと思われます。

以上のことから、引き続き、反落に対する警戒が必要な状況と思われますので、高値掴みには注意したいところです。